ソニーとホンダの折半出資により設立されたソニー・ホンダモビリティ株式会社(本社:東京都港区/代表取締役:水野泰秀)の第1期決算(2022年9月28日〜2023年3月31日)が、このほど官報に掲載された。当期純損失は55億1,900万円だった。
記事の目次
■決算概要(2023年3月31日現在)
貸借対照表の要旨(単位:百万円)
▼資産の部
流動資産 18,680
固定資産 2,207
・有形固定資産 847
・無形固定資産 257
・投資その他の資産 1,103
資産合計 20,886
▼負債の部
流動負債 6,399
(うち賞与引当金 235)
固定負債 6
(うち役員退職慰労引当金 6)
負債合計 6,405
▼純資産の部
株主資本 14,481
・資本金 10,000
・資本剰余金 10,000
・・資本準備金 10,000
・利益剰余金 △5,519
・・その他利益剰余金 △5,519
純資産合計 14,481
負債・純資産合計 20,886
損益計算書の要旨(単位:百万円)
売上高 −
売上原価 −
売上総利益 −
販売費及び一般管理費 5,519
営業損失 5,519
営業外収益 4
営業外費用 1
経常損失 5,516
税引前当期純損失 5,516
法人税、住民税及び事業税 2
当期純損失 5,519
■高付加価値EVの共同開発・販売へ
ソニー・ホンダモビリティは、高付加価値EV(電気自動車)の販売を目指し、ソニーグループとホンダがそれぞれ50%ずつ出資し2022年9月に設立された。高付加価値EVの共同開発・販売のほか、モビリティ向けサービスの提供を合わせて事業化することで、モビリティ業界における変革をリードしていく点で合意し、設立に至ったという。
ソフトウェアを中心とした新しい技術の投入のほか、他社とのパートナーシップ構築を積極的に行い、新しいアイデアを採用することで、高付加価値型の商品やサービスの提供、顧客との新しい関係の構築にチャレンジし「Mobility Tech Company」を目指すとしている。
企業パーパス(存在意義)は、「多様な知で革新を追求し、人を動かす。」だ。「知をつなげ、最先端のテクノロジーへの挑戦を行い、人の感性や行動へ働きかけていく、人を動かしていくモビリティの革新を実現していく」ことを目的としている。
自動運転に関しては、特定条件下での自動運転機能であるレベル3搭載を目指すと同時に、市街地などのより広い運転条件下での運転支援機能であるレベル2+の開発にも取り組む。
【参考】関連記事としては「自動運転レベルとは?」も参照。
■CES 2023でプロトタイプを初披露
2023年1月にラスベガスで開催された世界最大級の技術見本市「CES 2023」において、新ブランド「AFEELA(アフィーラ)」を発表、プロトタイプを初披露した。このプロトタイプには、車内外に計45個のカメラ、センサーなどのほか、最大800TOPSの演算性能を持つECUを搭載している。
モビリティのインテリジェント化を進めるため、自動運転・ADAS(先進運転支援システム)、HMI・IVI(車載インフォテインメント)、テレマティクスなどの主要機能に米Qualcomm TechnologiesのSnapdragon Digital ChassisのSoCを採用した。また、モビリティサービスおよびエンタテインメントの新たな価値創出に向け、米Epic Gamesとの協業を開始する。
2025年前半から量産車の先行受注を開始し、同年中の発売を予定している。顧客へのデリバリーは2026年春に北米から開始し、その後2026年後半に日本で行う予定になっている。なお生産拠点は、ホンダの北米工場を予定しているようだ。
■2025年ごろから売上計上?
ソニー・ホンダモビリティの高付加価値型EVのコンセプトは、「Autonomy 進化する自律性」「Augmentation 身体・時空間の拡張」「Affinity 人との協調、社会との共生」の「3A」になるという。
一般的に、新規事業が黒字化するまでは数年かかる。同社は現在製品の開発段階であり、販売がまだ開始されていないことから、AFEELAの先行受注と販売が始まる2025年ごろから売上が計上されるフェーズに入ると予想される。引き続き、注目だ。
※官報に掲載された決算公告に関する記事は「自動運転・MaaS企業 決算まとめ」から閲覧頂くことが可能です。
【参考】関連記事としては「自動運転時代、「世界のトヨタ」が死語に?ホンダ、増す存在感」も参照。