日本各地でMaaSの取り組みが活性化している。実証実験も多数行われているが、その結果や成果を公開することが、社会受容性の向上や日本全体でのMaaSの取り組みの底上げにつながる。こうした観点からも注目すべき発表があった。
長野県白馬村はこのほど、2022〜2023年の冬に運行したAIオンデマンド乗合タクシー「白馬ナイトデマンドタクシー」の実証実験の結果を公表した。
■予約は4,826件、相乗り率は73.2%
白馬ナイトデマンドタクシーは多数の観光客や地域住民が利用し、約70日間の運行期間で、アプリ登録者数は3,939人、累計乗車人数は1万2,000人になったという。外国人のアプリ登録は73%を占め、2,875人にも上った。
予約は4,826件あり、相乗り率は73.2%と高い運行効率を達成した。またサービス満足度においては、5段階評価での最高評価が91%となり、冬の観光の足として白馬村の賑わいに大きく貢献することができたようだ。
■夏のAIオンデマンド乗合タクシーも実施
この結果を踏まえ、今夏もAIオンデマンド乗合タクシー「白馬夏のデマンドタクシー」の実証実験を行うことを発表している。2023年7月1日~2023年9月30日の土日祝日に運行し、避暑やトレッキングを目的に訪れる観光客が主な対象となっている。
この事業では、昨冬の実証の参加事業者が「チャレンジ白馬」として連携し、運行を実施する。具体的には、アルピコ交通株式会社、アルピコタクシー株式会社、アルプス第一交通株式会社、白馬観光タクシー株式会社、BIPROGY、信州大学、SWAT Mobility Japanだ。
利用の際は「白馬夏のデマンドタクシーアプリ(HND)」というアプリを使う形となる。アプリを提供するのは、シンガポールに本社を置くモビリティスタートアップであるSWAT Mobilityの日本法人だ。
このアプリはシンガポールと日本で特許を取得しているダイナミック・ルーティング・アルゴリズムを実装しており、最少の車両台数で多くの乗客を移動需要に基づいて送迎し、夏の白馬村の観光利便性を確保することができるという。
さらに、取得した移動データを30の運行指標に基づき、継続的な分析と改善を行うことを可能にしている。それにより需要に応じた最適なサービスを作り上げ、白馬村の公共交通の最適化を目指すという。
■さらに高い相乗り率を達成できるか注目
冒頭にも触れたが、きちんと実証実験の成果を対外的に公表することは、プラスの側面が多い。ちなみに自動運転ラボでは「自動運転、実証実験の結果一覧(2023年最新版)」の記事で過去の実証実験の結果をまとめているので、参考までに。
いずれにしても、今夏の白馬村のAIオンデマンド乗合タクシーでも昨冬と同じような高い相乗り率、もしくはさらに高い相乗り率を達成できるのか、注目だ。
【参考】関連記事としては「シンガポール発SWAT Mobilityが日本上陸!MaaS&オンデマンド相乗りサービスに強み」も参照。