空飛ぶクルマを開発する米Joby Aviationが、米空軍から最大9台の空飛ぶクルマについて、5,500万ドル(約75億円)の契約延長を受けたという。
米メディアが報じたもので、これにより米空軍との契約は総額1億3,100万ドル(約177億円)に達する見込みだという。
■Joby Aviationと米空軍の契約内容
米空軍は「AFWERX Agility Prime program」の一環で、Joby AviationのeVTOL(電動垂直離着陸機)に注目したという。
【参考】関連記事としては「eVTOLとは?「空飛ぶクルマ」の類型の一つ」も参照。
このプログラムは、将来の国家安全保障上のニーズを満たすeVTOL機の開発を進めると同時に、高度な航空移動技術の商業化を加速させることを目的にしているものだ。空軍がJoby AviationのeVTOLに投資することは、この目標達成に向けた重要なステップとなる。
今回の契約延長では、9機のeVTOLのうち最初の2機が、2024年3月にカリフォルニア州東部にあるエドワーズ空軍基地に納入される予定のようだ。米空軍は、同基地の商業や軍事目的の航空機技術開発を支援する米国空軍の機関である「AFWERX」とテストセンターにおいて、eVTOLをテストする予定だ。
さらに米空軍は、空軍の施設でJoby AviationのeVTOLを操作できるパイロットを育成したいと考えているという。
米空軍のトム・ミーガー中佐は「空軍のパイロットが訓練を受け、空軍の施設でJoby AviationのeVTOLを操作するというこのステップは、プログラムにとって重要なマイルストーン」とした上で「先進のエアモビリティの整備情報や運用方法、ユースケースの検証に関する知見を得ることができる」と語っている。
また、カリフォルニア州にあるJoby Aviationの製造施設では、最近になって米空軍のパイロット4人を受け入れたという。パイロットは単独での新型機の操縦をマスターし、飛行範囲を完全に把握することができたようだ。
■トヨタとも提携するJoby Aviation
Joby Aviationは、サイエンステクノロジー開発を手掛けるVelocity11や、三脚「ゴリラポッド」の開発などで知られるJOBYなどを創業したJoeBen Bevirt(ジョーベン・ビバート)氏により2009年に設立された。
2020年1月に行われた資金調達Cラウンドでは、トヨタがリードインベスターを務め、過去最大の5億9,000万ドル(約680億円:当時のレート)を調達している。これまでの投資家のほか、Uberなどが新たに参加している。なお、トヨタはこのうち3億9,400万ドル(約450億円:同)を出資している。
同じタイミングで、トヨタと空のモビリティの実現に向け、eVTOLの開発・生産で協業することを発表した。また同年12月に、Uber TechnologiesのeVTOL開発部門「Uber Elevate」の買収とパートナーシップの拡大を発表した。取引の一環として、UberがJobyに7,500万ドル(約86億円:同)を追加出資することも発表された。
2022年2月にはANAホールディングスとのパートナーシップを発表した。ANAホールディングスとは、2025年に開催の「大阪・関西万博」での空飛ぶクルマ運航事業者に選定されている。なおJoby Aviationの機体は、日本における空飛ぶクルマの型式証明申請の第2号として、2022年10月に国土交通省に受理された。
■米空軍のお墨付きを得ているJoby
トヨタやUber、ANAホールディングスなど大手企業と次々に提携するJoby Aviation。米空軍のお墨付きも得、ますます空飛ぶクルマ開発企業の第一人者としての地位を確立したと言える。
▼Joby Aviation公式サイト
https://www.jobyaviation.com/
【参考】関連記事としては「Joby Aviationとは?「空飛ぶクルマ」で世界をリード」も参照。