自動運転車は「サイクリストの言語を学べ」! とある教授の主張

事故を減らすための最新研究



自動運転車が社会で広く活躍するためには、少なくとも手動運転よりは事故率を下げる必要がある。そうでなければ社会受容性が高まらないからだ。そのために業界ではいま事故率を下げるためのさまざまな取り組みを行っている。


例えば、センサーの精度を高めたり、予期されるリスクの範囲を拡大したり、AIにさまざまな事故のシーンを学習させたり…。そして、これらのほかにも必要なことがあると、英グラスゴー大学のStephen Brewster教授は強調する。

それは、自動運転車は「サイクリストの言語」を学ぶ必要があるということだ。サイクリスト(cyclist)とは、自転車に乗って走っている人のことだ。英メディア「Express & Star」が同教授の主張を紹介している。

■相互作用を持てる仕組みの必要性

人間が自動車を運転する際、サイクリストが近くにいる場合、サイクリストと自動車の運転手がアイコンタクトをしたり、サイクリスト側が身振りでその後の行動をドライバー側に伝えたりと、コミュニケーションが生じることがある。

そのことが事故の発生を未然に防ぐことにつながるが、自動運転車はなかなか人間の運転手のようにサイクリストとコミュニケーションをとることはできない。そのためBrewster教授は、現在、ドライバーとサイクリストの間でどのようなコミュニケーションが発生しているのかを研究し、その研究結果を自動運転システムの開発に生かすべきだと強調している。


つまり教授が強調する「サイクリストの言語を学ぶ必要がある」というのは、要は自動運転車がしっかりとサイクリストと相互作用を持てる仕組みを作るべき、と言い換えても差し支えないだろう。

■自動運転車流のコミュニケーションのアイデア

では両者の間でどのような相互作用の仕組みを作るべきなのか。

Brewster教授の研究などでは、自動運転車の側面にその後の車両の動作を示す電子ボードを取り付ける案などが検討されている。またサイクリストがスマートグラスをかけ、そのスマートグラスに自動運転車がその後の車両の動作を示す情報を配信する仕組みもあり得るという。

これらはいずれも「自動運転車」から「サイクリスト」への情報の伝達で、実質的には一方通行のコミュニケーションとなるが、事故が減るのであればそのような方法でも問題ないという。


■研究の積み重ねが自動運転社会を現実に

このような自動運転に関するさまざまな研究の積み重ねが、将来的な自動運転社会の到来を現実のものとする。

こうした自動運転の日本語の論文は、日本の学術ジャーナルを発信するオンラインプラットフォーム「J-Stage」などで検索すると読むことができるので、興味がある人はぜひ以下から検索してみてほしい。

▼J-STAGEトップ
https://www.jstage.jst.go.jp/browse/-char/ja/

【参考】関連記事としては「自動運転、読んでおきたい論文15選」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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