SkyDriveの空飛ぶクルマ、「2億円」はお買い得?

予約販売を開始、すでに注文も



出典:SkyDriveプレスリリース

空飛ぶクルマなどの開発を手がける株式会社SkyDrive(本社:愛知県豊田市/代表取締役CEO:福澤知浩)は、2人乗りの空飛ぶクルマ「SD-05」の予約販売を始めている。まずは企業向けに、その後、個人向けにも予約販売を開始した。

初回ロットの機体価格は、約150万ドル(約2億円)のようだ。なお運航諸費用は別途となっている。


■SD-05はどんな機体?

SD-05の機体サイズは、プロペラ部分を含み全長9.4×全幅9.4m×前高2.7mで、操縦士込みで2人搭乗できる。最大時速100キロ、実運用航続距離5〜10キロ、実運用飛行時間5〜10分となっている。

これまでに、ベトナムのディベロッパーであるパシフィックグループと最大100機のプレオーダー契約を2022年11月に締結した。2023年4月には、日本の実業家である千葉功太郎氏と香川県の大豊産業が予約購入したことを発表している。なお千葉氏との契約が、個人向け第1号となった。

SD-05の2億円という価格は、空飛ぶクルマ(eVTOL:電動垂直離着陸機)としては世界的に見て高いのか、安いのか。他社の機体価格を調べてみよう。

■SD-05よりも低価格帯の空飛ぶクルマ
Jetson「Jetson ONE」:9万2,000ドル(約1,200万円)
出典:Jetson公式サイト

スウェーデンのスタートアップ・Jetsonが開発する小型軽量eVTOL「Jetson ONE」の価格は、頭金含め9万2,000ドル(約1,200万円)となっている。この機種は1人乗りで、最大時速108キロで20分間飛行でき、航続距離は36キロとなっている。機体は折り畳み可能で、幅90センチまで縮めることができる。重量はわずか86キロで、他社と比較し群を抜いて軽い。


Samson Sky「Switchblade」:17万ドル(約2,300万円)〜
出典:Samson Sky公式サイト

米Samson Skyの「Switchblade」は、道路での走行と飛行を両立した空飛ぶクルマだ。陸路では時速160キロで高速道路を走行することができ、飛行モードでの最大時速は305キロ、航続距離724キロとなっている。

VFR(Visual Flight Rules/有視界飛行方式)モデルは17万ドル(約2,300万円)から、IFR(Instrument Flight Rules/計器飛行方式)モデルは19万5,000ドル(約2,600万円)からという価格設定だ。

EHang「EH216」:33万6,000ドル(約4,800万円)
出典:EHang公式サイト

中国を代表する空飛ぶクルマ開発メーカーであるEHangの「EH216」は、33万6,000ドル(約4,500万円)だ。2人乗りの機体で、時速130キロ、航続距離35キロとなっている。

■SD-05よりも高価格帯の空飛ぶクルマ
Vertical Aerospace「VX4」:400万ドル(約5億3,000万円)の見込み
出典:Vertical Aerospace公式サイト

英Vertical Aerospaceの「VX4」は、操縦士を含め5人乗りで、時速約320キロで160キロ航行できる。複数の大手航空会社と、最大1,000機の受注契約を交わしており、契約額は最大40億ドルとなっているようだ。1機あたり400万ドル(約5億3,000万円)の計算となる。


Lilium「Lilium Jet」:450万ドル(約6億円)の見込み
出典:Lilium公式サイト

独Liliumの「Lilium Jet」は操縦士含め7人乗車可能で、最高時速280キロ、航続距離250キロとなっている。ブラジルの大手航空会社Azulとの大型契約では、2025年までに220機を最大10億ドルで販売すると発表しているため、単純計算で1機あたり450万ドル(約6億円)となる。

Archer Aviation「Maker」:500万ドル(約6億7,000万円)の見込み
出典:Archer Aviation公式サイト

米Archer Aviationが開発する「Maker」は2人乗りで、最高時速240キロ、航続距離100キロとなっている。米ユナイテッド航空が最大200機を10億ドルで購入することが2021年2月に発表された。単純計算すると1機あたり500万ドル(約6億7,000万円)になる。

■SD-05は中間価格帯

機体サイズや、エンジンスペックなどを比較をせずに価格帯だけで見ると、SkyDriveのSD-05は中価格帯になると言えそうだ。ただし、中価格帯とはいえ、2億円というのは個人ではなかなか手を出せる価格ではない。

しかし、今後開発が進んで量産体制に入れば、製造コストが下がり、販売価格も低くなっていくはずだ。そのため、将来的に普及機が2億円で販売されるわけではなく、恐らく数百万〜数千万円ほどまで下がっていく可能性もありそうだ。

【参考】関連記事としては「空飛ぶクルマの価格・値段は?」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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