米GM傘下で自動運転開発を手掛けるCruiseは、カリフォルニア州サンフランシスコで有料の自動運転タクシーサービスを展開しているが、2023年3月22日に交通トラブルを起こしていたことが判明した。
その前日にサンフランシスコで発生した嵐の影響により、木や電柱が倒れ、注意喚起のために黄色のテープが設置されていた。Cruiseの自動運転タクシーはそれを検知できず、黄色のテープに絡まって停車することなった。
■注意喚起のテープを検知できず
Twitterに投稿された目撃情報によると、サンフランシスコでCruiseのドライバーレスの自動運転タクシー2台が進入禁止のテープを検知できず、テープに絡まり立ち往生したようだ。投稿写真では、車両上部に設置されたLiDARもしくはセンサーにテープが絡まっているように見える。
CruiseのTwitter公式アカウントは、このツイートに対し「昨夜の暴風雨による被害の影響により、一部のCruise車両が倒れた木や電線のあるエリアに一時的に立ち入った」とし、車両について「自動運転が可能な車両もあったが、我々はすぐにチームを派遣し、車両を撤去した」と返信している。
■トラブルが頻発しているCruise
Cruiseの自動運転タクシーは、2022年にも数度のトラブルを起こしている。4月に緊急出動中の消防車の行く手を阻んだり、5月に約10台の自動運転タクシーが公道をふさぐ形で数時間立ち往生したりといった具合だ。
同年6月には、同社の車両が左折途中で停止し、スピードを出して右折しようとしたトヨタのプリウスと衝突するという交通事故を起こしている。それにより、Cruiseはサンフランシスコで展開中の自動運転タクシー80台のソフトウェアを全てリコールし、最新バージョンに更新した。
【参考】関連記事としては「GM系自動運転車が交通遮断!「中に誰もいない!」と騒動に」も参照。
■ライバルのWaymoにもトラブル
Cruiseと同様にドライバーレスの自動運転タクシーの商用化を行っているWaymoも、2023年1月に交差点の真ん中に停車し、交通渋滞を引き起こすといったトラブルを起こしている。
こういった状況を受け、サンフランシスコ交通当局は両社に対し、安全上の懸念から自動運転タクシーサービスの拡大を遅らせるよう求めているという。当局の関係者は完全無人の自動運転タクシーの有用性は支持する一方で、高い安全性を維持できるよう、交通問題を引き起こす時間帯などのデータを収集するよう求めている。
さらに、道路運営や交通サービスに大きな支障を与えることがなくなるまで、中心部での運転を制限することも要望しているようだ。
■安全・安心面を強固にする技術開発が重要
自動運転タクシーの競争は、今後ますます激化すると考えられる。しかし、トラブルが相次げば、市民やユーザーの信用を失ってしまい、今後自動運転タクシーが受け入れられなくなってしまう可能性もある。
実用化に伴い、安全面を強固にする技術開発をおろそかにはできない。
【参考】関連記事としては「自動運転タクシー「拡大待った!」 サンフランシスコ交通当局」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)