ドローンの「レベル4自律飛行」見据え、JALなどが長期実証

東京あきる野市で補助者なし目視外飛行



出典:日本航空プレスリリース

2022年12月5日に施行された改正航空法において、「有人地帯における補助者なし目視外飛行(レベル4飛行)」が可能となった。これを機に、日本航空(JAL)などが2023年2月1日から、東京あきる野市でドローンを活用した医療物資輸送運用の実証実験を1カ月実施する。

▼無人航空機レベル4飛行ポータルサイト|国土交通省
https://www.mlit.go.jp/koku/level4/


■あきる野市で1カ月の長期運用実証

今回の実証は、東京都の「ドローン物流サービスの社会実装促進に係る実証プロジェクト」の一環で、都内でのドローン物流サービスの早期実装を目指すために行われる。2022年度は飛行実証やオペレーションの確認を行う計画で、2022年2月には隅田川において医療品配送の実証を3日間実施している。

今回の 実証には、日本航空をはじめ、KDDIやKDDIスマートドローン、東日本旅客鉄道、ウェザーニューズ、メディセオが参加する。KDDIがプロジェクト全体を取りまとめ、KDDIスマートドローンがスマートドローンプラットフォームの提供と機体運航の支援を行う。

日本航空は機体運航とドローン物流ビジネスの策定と評価検証、ドローン飛行に関する安全管理を担う。東日本旅客鉄道は自治体と実証地域住民への社会需要性向上を推進する。ウェザーニューズ は安全運航のための気象データと助言、有人航空機と無人航空機の連携シミュレーションデータを提供、メディセオはドローンを活用した医薬品配送手順の策定と検証を担う。

■小学校で社会受容性向上に向けたイベントも

今回の実証に先立ち、地域の小学校において1月25日にドローンの社会受容性向上のためのイベントも行われるようだ。対象は児童で、ドローンの安全管理の仕組みや法制度、社会受容性に関する調査、実際に使われる機体でのプロモーションフライトなどが実施される。


出典:無人航空機レベル4飛行ポータルサイト|国土交通省

実証では、レベル4飛行でのドローン運用を想定して、平日の日中に遠隔からの運航管理による飛行業務を実施する。飛行ルートは公立医療センターと臨床検査を行うエスアールエル セントラルラボラトリー間に設定され、自律飛行の物流用ドローンが医療物資輸送を行う。

1カ月という長期運用実証により、技術面やビジネス面、制度面での課題を洗い出し、恒常的なドローン飛行のために必要な安全運航体制やビジネスモデルの検討を行っていくという。2023年度以降は都心部でのレベル4の飛行実証を行い、2024年度には都心部におけるレベル4の長期的な飛行実証を行う予定のようだ。

■ドローンが当たり前に飛び交う風景

都心部で「補助者なし」「目視外」でドローンが飛び交う風景があたりまえになる時代はもうそこまで来ている。引き続き各社の取り組みに注目していきたい。

【参考】関連記事としては「ドローンの「自律飛行レベル4」が広げる新ビジネスの可能性」も参照。


記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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