自動運転車が普及すると、ドライバーは運転をする必要がなくなる。ハンドルから手を離して自由に過ごせるようになることで、スマホを見たりパソコンで仕事をしたりといった時間が増えると予想される。いずれ訪れるそうした未来の先取りも狙ってか、このほど新しいサービスが始まった。
タクシー向けのメディア事業や広告事業などを展開するニューステクノロジーは2022年11月13日までに、タクシーやバスなどのモビリティ事業者を対象に車内専用フリーWi-Fiサービス「Mobi-Fi」の提供を開始することを発表した。
サービス開始の直接の狙いとしては「インバウンド需要の回復やリモート会議の増加を背景に、多様化する乗客の移動ニーズにいち早く応え、移動時間の充実化と利便性の向上を目指します」としているが、一方では以下のようにもプレスリリースの中でも触れている。
来たる自動運転社会では、技術の進歩により移動にまつわる「手段・時間・空間」が大きく変化していくと予想しており、そんな未来を見据えて、今後も新しいモビリティサービスや企画を開発・提供していきます。(出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000152.000041209.html)
■サービス開始の直接の狙い
まずはサービス開始の直接の狙いについて、考察していこう。
日本政府観光局によると、2022年9月の訪日外国人は水際対策後初めて20万人を超えた。さらに2022年10月11日には入国制限が見直され、今後は多くのインバウンド需要が見込まれる。
観光庁が訪日外国人向けに行ったアンケート調査によると、旅行中困ったことでは、無料公衆無線LANが少ないということが3割を占めていた。街中だけでなく公共交通機関も含め、フリーWi-Fiサービスの拡充が求められている。
さらにコロナ禍で在宅勤務やリモートワーク導入企業が増え、移動中にもリモートワークやオンライン会議をして時間を有効活用したという声もある。
そこで、ニューステクノロジーは新たな車内専用フリーWi-Fiサービス「Mobi-Fi」を開始した。事業者側が支払う料金は、データ通信費など込みで1台あたり月額3,000円、導入費や手数料は不要となっている。
■自動運転時代に必須の車内Wi-Fi
すでに日本では自動運転レベル3の車両をホンダが発売しており、2023年4月には自動運転レベル4の公道走行を可能にする改正道路交通法が施行される。自動運転社会の本格的な到来は確実に近づいており、このことに着目したサービスやビジネスは今後増えていくはずだ。
自動運転車の利用方法は多様化することが予想されており、車内を移動オフィスとして使う人や、移動時間に映画鑑賞やゲームなどを楽しむ人が増えることは目に見えている。仕事をするにも、映画鑑賞するにも、インターネット環境は欠かせない。
そうした未来が訪れることを視野に入れているニューステクノロジー。自動運転市場におけるフロンティア企業の一社と言えるかもしれない。
【参考】関連記事としては「【対談】満稿御免!好調なタクシー後部座席広告の現在と未来、ニューステクノロジーと自動運転ラボが徹底分析」も参照。