6社9台を実装!ヤマハ発動機、搬送ロボで自動運転に本腰

「eve auto」の展開を拡大中



出典:ヤマハ発動機プレスリリース

ヤマハ発動機株式会社(本社:静岡県磐田市/代表取締役社長:日髙祥博)が自動運転EV(電気自動車)を用いた自動搬送サービス「eve auto(イヴオート)」の展開を拡大している。

2022年9月28日には、群馬県にあるパナソニックの大泉地区コールドチェーン工場に試験導入されたことを発表した。今回の導入を合わせると、ヤマハ発動機の自社工場を含めこれまでに6社9台が導入されたことになるという。


■パナソニックやプライムポリマーが導入

パナソニックの大泉地区コールドチェーン工場では、業務用冷蔵庫や冷蔵・冷凍ショーケース、飲料ディスペンサーなどを製造している。複数の工程において、いくつかの建屋をまたぐ部品の搬送が生じており、有人運転のフォークリフトやトラックを多数使っている。

eve autoを導入することで、省人化と大きくて重量のある冷蔵・冷凍ショーケース用パネルなど大型部品を搬送する際の安全面でのリスク低減が期待されている。

2022年4月には、出光興産と三井化学の合弁会社であるプライムポリマーの自社工場でも、eve autoが試験導入されたことが発表されている。これにより、昼夜問わず1日30~40回日行われていたポリプロピレンの樹脂サンプル搬送工程の自動化が実現した。

これは、ヤマハ発動機の工場以外での初めての本格的な導入事例となった。それまではヤマハ発動機の複数の工場で試験運用が進められてきた。


出典:ヤマハ発動機プレスリリース
■「eve auto」のサービスとは?

eve autoはヤマハ発動機と自動運転OSを開発するティアフォー、両社の合弁会社であるeve autonomy(イヴオートノミー)の3社が手がけた自動運転EVを活用して提供されるサービスを指し、短距離輸送の省力化と自律化の実現を目指している。2021年9月1日からサービス先行受注を開始した。

車両はティアフォーが展開する自動運転OS「Autoware」と、ヤマハ発動機の車体開発技術をかけわせて開発された。段差や傾斜に対応できる走破性などに強みを持ち、最大牽引能力は1,500キログラム、最大積載能力は300キログラムとなっている。車体はゴルフカートほどのコンパクトサイズだ。雨天の屋外や路面に凹凸のある環境でも問題なく利用できるという。

eve autoのサービスは期間を決めて利用するサブスクリプション型で、導入の初期費用が抑えられる。運行管理システムやアフターサービスも提供される。

■日本の生産現場が抱える課題を解決

展開を拡大しているeve auto。日本の生産現場が抱える課題である人手不足を解消し、日本のモノづくりを下支えする存在として、存在感を高めていきそうだ。引き続きヤマハ発動機の動向に注目していきたい。


記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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