「自動運転の目」と呼ばれるLiDARセンサーの開発を手掛ける米Ousterが、日本事業を本格化させる。日本語版ウェブサイトも開設し、販売強化に向けて日本企業との提携も加速させているようだ。
現在、世界50カ国、約600社以上に製品を出荷しているOuster。LiDAR業界はOusterのような新興企業のほか、デンソーやBoschなど大手自動車部品メーカーも事業を展開している分野で、そのような状況の中で日本市場でのシェア拡大を果たしていけるか、注目だ。
■2015年設立のスタートアップ
Ousterは2015年設立のスタートアップで、アメリカやEU、アジア太平洋地域、中東など世界各地に拠点を構えている。これまでに1万個以上のセンサーを出荷しており、自動車や産業、スマートインフラ、ロボット産業などで活用されているという。
なお、LiDARは「Light Detection And Ranging」の略称で、レーザーによって物体までの距離を計測するセンサーのことだ。自動運転車においては「目」の役割を果たす需要な部品だ。
アナログLiDARと呼ばれる従来のLiDARは、解像度に応じた大量のレーザー発信器と受信器による複雑なシステムで構成され、生産時間やスペース、費用などの面で課題があったという。
そこで、Ousterは2018年にデジタルLiDARを開発し、アナログLiDARで使用される数百から数千の部品を1つの半導体に集約させることを実現した。これによって、センターの小型軽量化や高い耐久性、コストダウンが可能になった。
現在までに50以上の特許取得と200以上の出願中の特許、250の独自ライセンス特許を保有している。
■「高解像度」「堅牢性」「低価格」
Ousterが手掛けるLiDARの特徴は「高解像度」「堅牢性」「低価格」の3つだ。
同社のデジタルLiDARは、「デジタルレシーバSoC」(ASIC)といった先端技術が搭載されており、高解像度のセンサーで車両の360度を3D計測でき、霧や雪といった厳しい気象条件下でも正確に対象を認識することができるという。
過酷な環境化でも10万時間以上連続して使用できるほどのタフさも自慢だ。防水性、耐振性に優れ、定格温度はマイナス40度〜プラス64度となっている。また、2021年11月に発売した自動車向け「DFシリーズ」は可動部が一切なく、大量生産がしやすいことで安価な価格での提供が可能となった。
■日本企業との提携も続々
日本語版ウェブサイト開設を機に、日本での販売強化を図るOuster。すでに、岡谷エレクトロニクスやPSYGIGといった大手卸売業者や、Kudanなどの情報通信企業と提携しているようだ。今後の日本におけるOusterの動きに注目だ。
▼Ouster公式サイト
https://ouster.com/jp/
【参考】関連記事としては「LiDARとは?」も参照。