LiDARだけで自動運転!米加州、韓国企業に実証許可

Vueron、GPSやHDマップも使わずに

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出典:Vueron公式サイト

米カリフォルニア州の道路管理局(DMV)はこのほど、「LiDARだけ」で自動運転を実現させる韓国企業Vueronに対し、公道における自動運転車の実証実験の許可を付与した。

カリフォルニアDMVは自動運転車の実証実験の許可に関し、「運転手付きの実証実験(Testing with a Driver)」と「運転手なしの実証実験(Driverless Testing)」という2つの許可区分を用意しており、今回Vueronに付与されたのは「運転手付きの実証実験」の方だ(※ここでいう「運転手」はセーフティドライバーのこと)

正確には、Vueron社の米国法人である「Vueron Technology USA, Inc」に付与されている。2022年6月23日時点で同種の許可を得ている企業は48社あり、日本企業としてはトヨタホンダ日産などが含まれている。

許可を得ている企業については、以下のページから確認できる。

▼Autonomous Vehicle Testing Permit Holders – California DMV
https://www.dmv.ca.gov/portal/vehicle-industry-services/autonomous-vehicles/autonomous-vehicle-testing-permit-holders/

<「運転手付きの実証実験(Testing with a Driver)」の許可を得ている企業>

<「運転手なしの実証実験(Driverless Testing)」の許可を得ている企業>

■GPSやHDマップも使わずに

LiDAR(ライダー)は、光技術を使って障害物の存在や形状、障害物までの距離を計測するセンサーで、「自動運転の目」などと例えられることが多い。

自動運転車を開発する企業の多くは、このLiDARに加えてカメラやミリ波レーダーなどを自動運転車に搭載し、センサーフュージョンによって自動運転を実現するアプローチをとっている。それぞれのセンサーの弱点を補完し合い、安全な自動運転を実現する仕組みだ。

しかしVueronは、基本的にLiDARだけで自動運転を実現しようとしている。Vueronは公式Facebookアカウントの投稿で、韓国のソウルから釜山まで「Only one LiDAR / No Camera, No Radar, No GPS, No HD Map」で走行できた実績を強調している。

カメラも使わず、レーダーも使わず、GPS(全地球測位システム)を使わず、高精度マップ(HDマップ)も使わずに・・・といった意味だ。

テスラとは異なるアプローチ

VueronはカリフォルニアDMVから許可を得たあと、すでに実証実験を開始しており、ロサンゼルスからサンフランシスコまでの公道を自動運転で走行したという。

米EV大手テスラのイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)は「カメラだけでの自動運転」を実現することに挑んでいるが、一方で「LiDARだけでの自動運転」という方針を掲げているVueron。引き続き注目だ。

【参考】関連記事としては「自動運転と韓国」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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