運転手不在の自動運転車、「整備士」の重責

国交省検討会、能力向上へ新WG



国土交通省が2022年5月13日に開催した第25回「自動車整備技術の高度化検討会」の議事次第がこのほど公開され、同検討会のWG(ワーキンググループ)に関し、「自動車整備の高度化に対応する人材確保に係る検討WG(仮称)」を新設することが明らかになった。


▼第25回 自動車整備技術の高度化検討会 議事次第
https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001481713.pdf

■人材の確保と能力の向上が軸

「自動車整備の高度化に対応する人材確保に係る検討WG(仮称)」では、2つの検討を行なっていくことが軸のようだ。自動車整備業に必要な人の確保と、自動車整備士などの能力の向上についてだ。

今後、自動運転レベル4(高度運転自動化)の車両が実用化された場合、自動車整備士の役割は一層重要になると考えられる。なぜ、自動運転時代になると整備士の役割が増すのか。自動車整備人材確保・育成推進協議会のページでは、下記のように書かれている。少し長めの文だがそのまま引用しよう。

「現在、ほぼ自動運転化されている飛行機は、フライト前後にはたくさんの整備士による点検整備が行われています。人命を機械に委ねるためには、その機械が完全な状態を維持しなければなりません。自動車も同様です、運転が自動化されることで、プロの整備士による点検整備を行い、自動車を完全な状態に保たなければならないのです。自動運転化が進めば進むほど、自動車整備士の役割はますます重要になります」(出典:https://jidoushaseibishi.jp/future.php


運転が自動化されるということは、人が運転に携わらないということとなり、小さなトラブルが起きたであってもその問題の解決を運転手に委ねられなくなる。そのため、なるべく車両が自動運転中にトラブルが起きないように整備士は尽力しなければならない。

【参考】関連記事としては「自動運転レベルとは?」も参照。

■新WG、2023年度以降に施策実施予定

「自動車整備の高度化に対応する人材確保に係る検討WG(仮称)」の第1回目の開催は、2022年6月ごろに予定されている。2022年度内に数回開催し、検討結果を取りまとめる予定だ。2023年度以降には施策を実施し、効果を検証して改善策を検討するようだ。

自動車整備業に必要な人の確保については、一種養成施設に入学する学生増加策や、復職者の増加策、未経験者の採用、外国人の採用などを検討し、職場での定着率を上げるための検討も同時に実施する。


自動車整備士等の能力の向上については、「一種養成施設で学んだ卒業生や復職者の能力向上策」と「自動車整備事業者で勤務している自動車整備士や工員の能力向上策」を検討する。

WGの座長は、公益財団法人「大原記念労働科学研究所」の主管研究員である酒井一博氏が務める。リクルートのジョブズリサーチセンターのセンター長である宇佐川邦子氏や、ダイハツ東京販売の1級自動車整備士、鳥山美波氏なども参加しており、技術者を育て、採用していく意気込みが感じられる。

■自動運転時代に適応した整備士の必要性

自動車の自動運転化に必要と要素としては、よく道路インフラのアップデートや法改正などが話題に上がるが、自動運転時代に適応した整備士の養成も求められる。こうした視点で新たに設置されるWGで有意義な議論が行われることに期待したい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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