自動運転トラック、反対派多数の米カンザス州で走行許可

Gatikが取得、Walmartの商品配送で活用か



出典:ウォルマート・プレスリリース

小型・中型トラックの自動運転技術開発を手掛ける米スタートアップのGatik(ガティック)は2022年5月25日までに、米カンザス州で完全無人の自動運転トラックを走行させる予定だと明らかにした。

同州の規制当局がGatikに対し、セーフティードライバー無しでの自動運転車の使用を許可した。自動運転トラックは米小売大手のWalmart(ウォルマート)の商品配送で使用するとみられ、今回の自動運転トラックの走行に際してWalmartも営業許可を得ているようだ。


Gatikとウォルマートはすでにアーカンソー州とルイジアナ州において、自動運転トラックでの短距離配送を行っている。2021年11月からは、アーカンソー州でセーフティードライバー無しの完全無人自動運転での配送を開始した。つまり、今回のカンザス州で米国3例目となる。

■カンザス州で取り組みが始まる意義

カンザス州で自動運転車を活用した取り組みがスタートすることは、他の州とは別な意味を持つ。

同州では、労働組合や弁護士、同州の労働者団体が、保険や責任などの問題を理由に無人自動運転車の使用許可に反対する立場をとってきた。しかし、カンザス州の州知事は使用許可を出すことを解禁する法案に署名し、今回Gatikへ許可を出すに至った。

ただし、許可を得た場合でも完全自動運転を行う前に12カ月間、人間の運転手が乗った状態で走行テストを行うという決まりがあるようだ。そのためGatikとWalmartが実際に完全無人での運用をスタートするのは、まだ少し先の話なのかもしれない。


■まだ競合が少ない分野で勝負

Gatikは、配送用商用トラック向けに自動運転技術開発する企業として、2017年に設立された。米カリフォルニア州マウンテンビューとカナダのトロントに開発拠点を持つ。

GakitがWalmartと取り組みを開始したのは2019年7月。2020年11月にはカナダの小売企業であるLoblawと提携し、カナダのトロントで小型自動運転トラックを運用している。

2021年4月には、日本のいすゞ自動車の北米子会社「いすゞノース・アメリカコーポレーション」と、レベル4に該当する自動運転トラックの開発で提携したことでも知られている。

技術力を高めつつ、パートナーを増やしているGatik。「小型・中型トラックの自動運転化」はまだ目をつけている企業が少ないだけに、このビジネスチャンスをものにできるか、引き続きウオッチしていきたい。


▼Gatik公式サイト
https://gatik.ai/

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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