地図大手の株式会社ゼンリン(本社:福岡県北九州市/代表取締役社長:髙山善司)は、ドライブレコーダーのデータを活用して地図情報をメンテナンスする「道路情報の自動差分抽出プロジェクト」の試験運用を、全国の高速道路を対象に2022年4月から開始している。
同プロジェクトは、モビリティ関連事業を展開する株式会社Mobility Technologies(本社:東京都港区/代表取締役社長:中島宏)=MoT=と共同で行っており、高速道路の規制標識の変化を自動で検出するという。
こうした変化は、自動運転やADAS(先進運転支援システム)用途の地図へも反映予定で、自動運転に必要な高鮮度な地図情報を提供していくことにも意欲を見せている。自動運転やADAS分野では、高鮮度な地図情報に対する需要が日々高まっている。
■「DRIVE CHART」搭載車両は3万台以上
「道路情報の自動差分抽出プロジェクト」はドライブレコーダーが取得する道路標識情報を活用し、地図と検出された道路上の物体を比較して差分を見つけ、地図を更新していくプロジェクトだ。両社は2020年4月から要素技術の研究とシステム開発を進めてきた。
ドライブレコーダの高鮮度かつ大量のデータは、Mobility Technologiesが展開する次世代AI(人工知能)ドラレコサービス「DRIVE CHART」が収集する。DRIVE CHARTを搭載したタクシーやトラック、営業車は、現在、全国で3万台以上が走行している。
今後は高速道路だけでなく一般道路にも運用の対象を拡張していく予定だ。取得する対象も道路標識だけでなく、走行領域やレーン、道幅、矢印ペイントなどと随時増やしていくという。
■LED式標識の問題も解決
ちなみに、高速道路上のLED式速度制限標識は、LEDの点灯周波数とドライブレコーダーの撮影周波数の関係から、AIがLEDの数値を読み取れる映像として映らない瞬間がある。
しかし、映像中に検出した標識を追跡することで、LEDの数値がはっきりと見える瞬間を逃さず読み取り、97%以上の高い読み取り正解率を達成しているという。
■自動運転の普及・社会実装に貢献
自動運転やADASの安全な運転を実現するには、最新で詳細な地図情報が重要な要素となる。日本では高速道路上での自動運転レベル3が解禁された。今後のさらなるレベル3の普及とレベル4の社会実装のためにも、両社の取り組みに期待がかかる。
【参考】関連記事としては「ダイナミックマップとは?」も参照。