ソフトバンクグループは2022年5月12日午後、2022年3月期の通期決算(2021年4月〜2022年3月)の決算説明会を開催した。純利益は前期の4兆9,879億円の黒字から一転、1兆7,080億円の赤字となった。世界的な株安の影響もあり、投資実績が大きく悪化した。
■「我々がとるべき行動は『徹底した守り』」
孫正義会長兼社長は「我々ソフトバンクがとるべき行動は『徹底した守り』であろうと思います」と語り、具体的な対策としては、継続的な資金化と投資基準の厳格化に取り組むことを説明。「投資のペースを保守的にする」と述べた。
2022年3月末時点の「時価純資産(NAV)」は約18兆5,000億円で、保有する「現金等」は約2兆9,000億円に上ると明らかにした。
ソフトバンクビジョンファンド(SVF)などの投資利益は第3四半期は6兆406億円だったが、3兆473億円に減った。約3兆円の下落だ。エリア別では、中国における投資利益が消え、2,516億円のマイナスに転じた。
■「自動運転車にArmのチップが続々され始めた」
SVFなどの投資先は、SVF1は94社、SVF2は278社、LatAm Fundsは103社で、孫会長は「より小粒な投資が増えている」と述べた。
投資先には、自動運転関連企業も多く含まれており、上場済み企業としてはAurora Innovation(米国)など、未上場企業としてはArm(英国)やNuro(米国)などが挙げられる。
Aurora Innovationは自動運転システムを開発する企業。Armは半導体設計大手で、自動運転領域における存在が高い。Nuroは自動配送ロボットを開発するアメリカのベンチャー企業だ。
Armについて孫会長は「自動運転の自動車に続々とArmの高機能チップが出荷され始めた」と強調し、「つい売上がフラット(横ばい)だったものが、去年の後半から大きく伸び始めている」と語った。
【参考】関連記事としては「ソフトバンク・ビジョン・ファンドとは?(2022年最新版)」も参照。