ドイツの商用車メーカーMAN Truck & Busが「自動運転レベル4」(高度運転自動化)の無人トラックを開発し、「ロジスティクス4.0」の実現を目指すようだ。
同社は多くの企業・団体とともに「ATLAS-L4プロジェクト」を進めていく。プロジェクトを通じてドライバーレスで物流拠点間を走行できるバスの開発に取り組み、ドライバー不足や事故・渋滞などの解消につなげていく考えだ。
■実現を目指す「ロジスティクス4.0」とは?
ロジスティクス4.0とは、IoTやAI(人工知能)によって省人化や標準化を目指す物流システムのことだ。
このロジスティクス4.0を実現すべく、自動車産業やソフトウェア開発、科学研究、行政のパートナーが一体となって自動運転型トラックを街中に導入するための資金調達プロジェクトが、冒頭触れた「ATLAS-L4(Automated Transport between Logistics centers on highways, Level4)」だ。
ATLAS-L4は、一般道や高速道路における事故・渋滞の緩和やドライバー不足という課題の解消、燃費の向上や二酸化炭素の排出量の削減などに貢献することを目指している。プロジェクトの核は、ドライバーレス走行ができる自動運転トラックの開発だ。
ちなみにドイツでは2021年に自動運転に関する法律が成立しており、「ATLAS-L4」は連邦経済・気候保護省から資金提供を受けているという。
■ATLAS-L4に参画する企業・団体の声
ATLAS-L4にはMAN Truck & Busを含め多くの企業・団体が参画している。各企業・団体のコメントをいくつか紹介しよう。MAN Truck & Busの研究開発担当役員であるFrederik Zohm氏は「ATLAS-L4は、hub-to-hubオートメーションへの重要なステップ」と強調している。
Robert Bosch Automotive Steeringの開発責任者であるJennifer Endres氏は「(プロジェクトは)完全自動運転の商用車のためのステアリングシステムを開発する機会を与えてくれた」と述べている。
ミュンヘン工科大学自動車技術研究所のMarkus Lienkamp博士は「プロジェクトを通じ、自動運転分野などにおける私たちの研究成果をほぼ現実のものにする。将来の資源効率およびコスト効率の高いモビリティの実現に貢献したい」と述べている。
■2020年代半ばには生産フェーズへ
「ロジスティクス4.0」の実現のために発足した「ATLAS-L4」プロジェクト。2020年代半ばには高速道路での自動運転トラックの運用コンセプトを策定し終え、生産に移行する予定だという。引き続き取り組みに注目していきたい。
【参考】関連記事としては「自動運転トラック、輸送工程の90%を無人化 ミシガン大学最新調査」も参照。