センサーを製造している企業が自動運転業界にアプローチする場合、自動運転向けセンサーを開発するのが「王道」だ。しかし米Teledyne FLIRのように、センサーの販売に加え、少しひねったアプローチで別な取り組みを展開している企業もある。
■米Teledyne FLIRが「熱データセット」展開
Teledyne FLIRは赤外線カメラやセンサーを製造している企業だが、自動運転などのテスト向けに、自社のセンサーを使って「遠赤外線データセット」も構築している。そしてこのほどこのデータセットの拡張版を完成させ、無料でリリースすることを発表した。
拡張版データセットには、米国・英国・フランスで日中と夜間に撮影した2万6,000枚以上の画像が収録されており、歩行者や自転車、自動車のほか、信号機や標識、スケートボード、ベビーカーなどがラベリングされているという。
企業はこのデータセットを、自社の自動運転技術やADAS(先進運転支援システム)の安全性の試験や運転アルゴリズムのトレーニングなどに使える。
■自社の強みをうまく活用するアイデア次第で…
Teledyne FLIRは、赤外線カメラや製造を行うFLIR Systemsとして1978年に設立された。赤外線関連技術に強みがあり、2021年にTeledyne Technologiesに買収され、Teledyne FLIRに社名変更している。
Teledyne FLIRが遠赤外線データセットを展開し始めたのは2018年7月のことだ。それからすでに3年以上が経ち、業界においても同社のデータセットの存在感は高まっている。
Teledyne FLIRの事例は、自社の強みをうまく活用するアイデアがあれば、同じ自動運転向けのビジネスだとしても、提供できるソリューションの幅が広がることを示していると言えるのではないだろうか。
【参考】関連記事としては「車両を開発してなくたっていい!自動運転ビジネスへの参入術(米Beepの場合)」も参照。