市場調査レポートを扱う米Research and Marketsは2022年2月20日までに、「Top-10 Chinese Carmakers in Autonomous Driviing(ADAS&自動運転における中国の自動車メーカーランキングTOP10)」という新たなレポートの提供をスタートしたと発表した。
自動運転やADAS(先進運転支援システム)の技術は、欧米や日本だけではなく、中国でも飛躍的に進化している。レポートの中で紹介されている上位10社の自動車メーカーは以下の通りとなっている。
- BAIC Motor (北京汽車集団)
- BYD(比亜迪)
- Changan(長安汽車)
- Chery(奇瑞汽車)
- Dongfeng Motor (東風汽車集団)
- FAW(第一汽車集団)
- GAC Group(広州汽車集団)
- Geely(吉利汽車)
- GWM(長城汽車)
- SAIC(上海汽車集団)
以下、いくつかの注目企業の自動運転関連の取り組みを紹介していこう。
記事の目次
■BYD :第3世代の自動運転EV配送車を発表
EV(電気自動車)大手のBYD(比亜迪)は、1995年にバッテリーメーカーとして深圳で設立され、2003年に中国国営の自動車メーカーを買収し、自動車事業をスタートさせた。
2022年1月、自動配送ロボットを開発する米Nuroと共同開発した第3世代の自動運転EV配送車を発表した。2023年に量産を開始し、将来的にはアメリカの公道を走行させる計画だという。
ちなみにBYDは完成車の開発・製造や車載用電池のほか、HCI(ヒューマン・コンピュータ・インタラクション)システムなどの提供でも注目を集めている。
▼BYD公式サイト
https://www.byd.com/en/index.html
■Dongfeng Motor:自動運転タクシーでAutoXと協業
1969年設立のDongfeng Motor(東風汽車集団)は、中国の国有自動車メーカー大手だ。自動運転スタートアップのAutoXに投資しており、2020年7月に両社および中国・武漢市と戦略的パートナーシップを結んでいる。
AutoXは武漢市における自動運転公道走行ライセンスを取得しており、Dongfeng Motorと自動運転タクシーのサービス展開に向けた取り組みを進めている。
▼Dongfeng Motor公式サイト
https://www.dfm-global.com/
【参考】関連記事としては「中国で自動運転車200台以上の大量投入計画!東風汽車のプロジェクト始動」も参照。
■Geely:Mobileyeとレベル4の車両を開発
1986年設立の自動車メーカーGeely(吉利汽車)は2022年1月、Intel傘下のMobileye(モービルアイ)と共同で、自動運転レベル4(高度運転自動化)に相当する自動運転車両を2024年に発売する計画を発表した。
Geelyが保有する高級EVブランド「Zeekr」にMobileyeの自動運転システム「Mobileye Drive」を搭載することで、自動運転レベル4を実現するという。
▼Geely公式サイト
http://global.geely.com/
■SAIC :「IM」に自動運転のための高速処理能力
SAIC(上海汽車集団)は、第一汽車と東風汽車とともに中国の三大自動車メーカーと呼ばれている。
2022年1月、SAICはアリババと共同でプレミアムEVブランド「IM」を発表している。IMには米半導体大手NVIDIAの自動運転向けSoC「Orin」が採用されており、自動運転のための超高速な処理能力を備える。
また、OTA(Over The Air)機能が搭載されているため、継続的なアップグレードを可能としている。
▼SAIC公式サイト
https://www.saicmotor.com/
【参考】関連記事としては「中国SAICの新EVに秘める実力 自動運転、車内パーソナライズ、OTAが実現!」も参照。
■ほかにも有力なスタートアップは存在する
中国における自動運転市場を俯瞰的に分析するときには、こうしたレポートが役立つ。ただし、今回のレポートは自動車メーカーが対象であるため、システムのみ、センサーのみを開発するスタートアップ企業などは登場しない。その点を踏まえて、ランキングを眺めてほしい。
【参考】関連記事としては「レベル4自動運転車、「量産」は中国の独壇場か 百度も大量製造へ」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)