トヨタ自動車の有志団体である「トヨタ技術会」が2019年から「自動運転ミニカーバトル」を開催している。2021年10月には2021年度の本戦が行われた。地味にこの大会は、トヨタの自動運転技術を進化させる原動力の1つになっているのではないか。
■トヨタ技術会とは?大会の概要は?
そもそもトヨタ技術会とは1974年に発足した有志団体で、プログラミングや画像認識、AI(人工知能)などの技術を楽しく学ぶことを目的に組織された。現在約2万7,000人の会員を有している。
2021年度の大会は126チーム(約430人)が参加した。6月に参加者が決定し、予選を勝ち抜いた27のチームが10月末に愛知で実施されたレース本戦に臨んだ。参加者のスキルアップのため、プログラミングや機械学習、ディープラーニングなどの講習会が定期的に開催されたという。
バトルでは、トヨタ技術会オリジナルの超音波センサーを用いた自律走行マシンを用いるプログラミング部門と、参加者がレギュレーション内で自由に制作したマシンを用いる無制限部門の2つがあり、規定コースでのタイムを競い合った。
無制限部門では、トヨタ技術会会員以外にもタミヤからのチームなども特別ゲストとして参戦した。
■多くのチームがNVIDIAのJetRacerを採用
無制限部門のレースでは、多くのチームが米半導体大手NVIDIAのAIレースカー「JetRacer」を採用したことにも注目したい。JetRacerは導入の手軽さや学習のしやすさ、カスタマイズ性に定評があり、無制限部門で上位に入賞した5チームのうち4チームがJetRacerを採用していた。
2020年度優勝者で2021年度も本戦で健闘したトヨタ技術会の田中裕貴氏は「JetRacerは、NVIDIA Jetsonという非常に強力なコンピューターを搭載しているので、撮影した画像から自分でアノテーションを作成し、Jetson上で学習させ、どこにもデータを移動せずにそのまま推論して走らせることができます」とコメントしている。
■関連スキルを身に付けることができる機会
ミニカーのレースではあるものの、自動運転での大会であることに変わりはない。自動運転は新たな技術であるだけに、関連スキルを身に付けることができるこうした機会は貴重だ。
トヨタだけではなく、ホンダや日産の有志もこうした大会を開催しているのだろうか。気になるところだ。
【参考】関連記事としては「多彩なチームがエントリー!自動運転AIチャレンジ、参加者募集中」も参照。