油圧ショベルに動作を「教育」!自動化に挑む東大発スタートアップ「ARAV」

NEDOの助成事業で採択、最大7,000万円助成



建機の自動運転に挑戦している注目の東京大学発スタートアップがある。2020年4月に設立されたARAV株式会社(本社:東京都文京区/代表取締役社長:白久レイエス樹)だ。


今後チャレンジしていく取り組みの1つが、インターネット回線を介して遠隔操作が可能な油圧ショベルに同一動作を覚えさせ、作業を自動化させるというものだ。

同社は「一度登録した動作を自動的にかつ障害物を回避するように何度でも再生することが可能」として上で、「繰り返し動作を自動化することで作業の効率化と安全性向上に貢献します」と説明している。

この事業は、国立研究開発法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構」(NEDO)のシード期の研究開発型スタートアップに対する助成事業で採択を受けた。助成額は7,000万円以内となっている。

▼2021年度「研究開発型スタートアップ支援事業/シード期の研究開発型スタートアップに対する事業化支援」第2回公募に係る実施体制の決定について
https://www.nedo.go.jp/koubo/CA3_100309.html


■建機の遠隔操作技術に取り組んできたARAV

ARAVは、建設現場が抱える安全性の確保やリスク低減などの課題を解決すべく、ロボット工学を用いた遠隔化や自動運転などのソリューションを提供し、現場をアップデートしようと開発を進めている。

すでに提供している遠隔操作技術では、最新の建機だけでなく10〜20年以上前の建機にも遠隔操作機器を後付けで装着し実装できる。新たな建機を購入しなくていいため導入ハードルも低い。

遠隔操作機器は容易に取り付け・外しができ、ユーザーが遠隔操作する際には、スマートフォンに専用コントローラーを装着するか、タブレットに無線または有線の汎用コントローラを装着する。スマートフォンタイプは携帯性の良さがポイントのようだ。

■東大発ベンチャーの取り組みに今後も注目

同じ東大発のベンチャーとして、TRUST SMITHが自動運転・自律走行技術に取り組んでいる点にも注目だ。同社は、障害物回避型アームアルゴリズムや自動搬送ロボット、自動搬送トラックの開発を手がけている。


2020年1月には関連会社として、製造業や運送業向けに自動運転ソリューションを提供するSMITH&MOTORSを設立している。

大学発ベンチャーでは、若い人材が大学とのつながりを持ちながら研究活動を進めており、その存在感は年々増している。大学発ベンチャーが国内有数のプレイヤーとなることもある。

今後も東大発ベンチャーARAVやTRUST SMITHをはじめ、全国の大学発ベンチャーの活躍に期待したい。

【参考】関連記事としては「日本で新たな自動配送ロボ誕生へ!TRUST SMITH、操作性を重視」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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