スウェーデンの自動車メーカーであるボルボ・カーズは2021年7月1日までに、2022年に公開予定のEV(電気自動車)のフラッグシップSUVに、米スタートアップのLuminar Technologies(ルミナー・テクノロジーズ)のLiDARを搭載することを発表した。
「XC90」の後継モデルにLuminarのLiDAR技術が搭載される形となる。また、自動運転車両などに使用される「NVIDIA DRIVE Orin SoC」を搭載した自律走行スーパーコンピューターも組み込まれるという。
ボルボはこの自立走行スーパーコンピューターやLuminarのセンサーを組み合わせ、次世代の安全パッケージによる衝突回避技術を実現し、死亡事故の減少を目指すとしている。
■LuminarのLiDARの採用が相次ぐ
ボルボ・カーズだけでなく、各社がLuminarのLiDARを搭載するという話題が業界で相次ぐ。
Luminarは2021年3月には、中国の自動車メーカーである上海汽車集団(SAIC)のEVブランド「R」向けに、LiDARや附随するソフトウェアを供給することを発表した。提供される製品はLiDAR「Iris(アイリス)」で、Rの車両のルーフに搭載される。
インテル傘下のイスラエル企業Mobileye(モービルアイ)にも、次世代自動運転車両向けにLiDARを供給する。2020年11月に、この件についての契約締結について発表されている。LuminarのLiDARはMobileyeの第1世代の自動運転車に搭載される見込みのようだ。
2021年5月には、中国の自動運転スタートアップPony.ai(小馬智行)がルミナーのLiDARを採用することを発表した。
さらに人々の注目を集めたのは、大手EVメーカーの米Tesla(テスラ)とLuminarがLiDARの試験・開発の契約を結んだという話題だ。テスラのイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)は元々、「自動運転にLiDARは不要」と強調していたこともあり、驚きを伴った。
■「陸」だけではなく「空」の移動手段でも
ちなみにLuminarの製品は自動車以外でも採用されている。2021年4月には航空機メーカーの仏エアバスと提携し、エアバス子会社にLiDARを提供することが発表された。
LiDAR関連のニュースでLuminarの社名を目にすることが多くなってきた。米国にとどまらず中国にまで進出し、「陸の移動手段」だけではなく「空の移動手段」もターゲットに据え、世界各地の企業と契約を結んでいく同社の躍進に今後も注目していきたい。
【参考】関連記事としては「LiDARとは?自動運転で活躍するセンサー、2030年に市場規模200倍に」も参照。