滋賀県東近江市の道の駅「奥永源寺渓流の里」で、新たに自動運転サービスが始動した。カート型の自動運転車が使用され、道の駅を起点とした自動運転サービスの導入事例としては、秋田県北上小阿仁村の道の駅「かみこあに」に続き2例目となる。
東近江市の道の駅での導入は、高齢化が進む中、中山間地域での住民の生活の足を確保することがねらいだ。社会実装を前に、2018年12月から2019年2月にかけて、すでに実証実験も実施されている。
今回の社会実装では、ヤマハ発動機製のカートを使った自動運転車が、道の駅を含む3地点の往復約4.4キロのルートを、最高時速12キロで走行する。乗客は最大4人で、週4日運行し、乗車運賃は1回150円となっている。
地面に敷設された電磁誘導線を使って車両を誘導する形の自動運転で、運転手が運転席に乗車し、緊急時は運転手がシステムに代わって運転する。
■高齢化地域や過疎地域の住民の移動手段を確保
国土交通省は2017年、高齢化地域や過疎地域における住民の移動手段を確保するため、中山間地域の道の駅などを拠点とした自動運転サービスの実証実験を全国各地でスタートさせた。
2017〜2018年度にかけては短期の実証実験を18カ所、2018年度以降は長期の実証実験を8カ所で実施している。以下が今回のサービス導入地域を含む実証実験の実施地域だ。
技術面や安全面だけではなく、ビジネスモデルとして自動運転サービスを確立させることができるよう、さまざまな観点から検証を行い、その結果をほかの実証実験に生かしながらサービスの充実化を図ってきた。地元の声も考慮して運行計画の随時見直しも行ってきた。
■次なる社会実装は道の駅「芦北でこぽん」などが有力か
2019年11月に自動運転サービスの社会実装が始まった道の駅「かみこあに」も、今回導入がスタートした道の駅「奥永源寺渓流の里」も、いずれも過去に長期の実証実験を実施している。
ほかに同様の長期の実証実験を行っている道の駅としては、島根県飯南町の道の駅「赤来高原」、熊本県芦北町の道の駅「芦北でこぽん」などがあり、今後はこうした道の駅でも社会実装が始まるかもしれない。
自動運転サービスの社会実装が進むにつれ、利用者からの声も続々とあがってくるはずだ。有料であっても高い満足感を利用者に与えることができるのか、注目していきたいところだ。
【参考】関連記事としては「道の駅と集落結ぶ自動運転サービス、商用化が決定!まず秋田で」も参照。