トヨタ自動車(本社:愛知県豊田市/代表取締役社長:豊田章男)はこのほど、自社開発の自動運転EV(電気自動車)「e-Palette」の実用化に向けて、待ち時間短縮や混雑緩和が可能になる運行管理システムを公開した。
APIを介してモビリティサービス事業者に提供するオープンなプラットフォーム「MSPF(モビリティサービス・プラットフォーム)」の新たな機能として開発され、クルマとつながる「AMMS(Autonomous Mobility Management System)」と、ヒトとつながる「e-TAP(e-Palette Task Assignment Platform)」という2つのシステムで構成されている。
■クルマとつながる「AMMS」
AMMSはトヨタが提唱する「ジャスト・イン・タイムモビリティ」を目指した「必要な時に、必要な場所へ、必要な台数だけ」e-Paletteを配車するシステムだ。
e-Paletteは事前計画に基づいて自動運転を行うが、停留所での乗客が多かった場合には運行計画に修正を加え、自動で車両を投入・回送することが可能だ。
また、追加投入によって生じる運行間隔のばらつきを防ぎ、等間隔ピッチでの運行を行う。さらに、車両の異常を検知した際は自動で車庫へ回送し、代替車を運行ルート上に投入する。緊急時には遠隔での車両停止や復帰も可能だという。
■ヒトとつながる「e-TAP」
e-TAPは一言で言えば「目で見る管理」システムだ。車両やスタッフの「異常の見える化」を行い、車両を1人で複数台を管理することができる。
また、搭乗員や保守員などのスタッフに対して自動で次に行う作業指示を行い、滞りないタスク管理を実現するという。
■【まとめ】「100年に一度の大変革期」に対応するe-Palette
e-PaletteはCES 2018で構想が初めて発表され、2019年の東京モーターショーで自動運転の機能を備えた車両が披露された。2021年7月に延期された東京五輪では、選手村内をe-Paletteが巡回して活躍するとみられている。
2020年代前半には複数エリア・地域での商用化を目指し、トヨタの実証都市「Woven City(ウーブン・シティ)」での運行も計画しており、すでに運用について各地のサービス事業者や自治体と協議を重ねているという。
2020年12月22日に行われたe-Paletteのオンライン発表会では、どんな自動運転システムも搭載することが可能だということや、アパレルショップや移動式宅配ロッカーとして活用する想定事例も紹介された。
トヨタが「100年に一度の大変革期」に対応するために開発しているe-Paletteの今後に、引き続き注目だ。
【参考】関連記事としては「トヨタのe-Palette(イーパレット)とは?多目的自動運転EV、MaaS向けなどに」も参照。