国は、雨や霧、日照などのさまざまな環境条件を再現可能な走行試験整備を新たに整備する。独立行政法人「自動車技術総合機構」の内部機関である交通安全環境研究所の自動車試験場に構築する見通しとなっている。
国土交通省はこのための予算を2億円、2021年度予算の概算要求で計上している。2021年度予算は2020年12月21日にも閣議決定される見込みとなっている。
こうした設備を構築するのは、日本が自動運転の国際安全基準の策定をリードするためだ。自動運転システムの安全評価ではさまざまな環境条件において作動することが求められる。霧や雨を再現できる設備があれば、基準作りに役立つデータを効率的に収集できる。
国土交通省が公表している資料によれば、設備の全長は200メートルで幅は20メートル、車線数は3車線を想定しているようで、標識や信号設備なども設置されるようだ。
■国際基準作りで議論を主導してきた日本
日本は自動運転関連の国際基準作りで存在感を示している。例えば自動運行装置などの基準化に向けては、国連WP29(自動車基準調和世界フォーラム)傘下の専門家会議などで日本が共同議長などの要職を担って議論をリードし、2020年6月に国際基準を成立させた。
2019年6月の国連WP29では、乗用車などの衝突被害軽減ブレーキ(AEBS)の国際基準が成立したが、この国際基準の議論も日本が主導してきた経緯がある。
今回の新たな設備の構築に関する予算計上は、こうした流れをくむものだと考えて間違いなさそうだ。
【参考】関連記事としては「自動運転レベル3の国際基準「注意深く有能な運転者と同等以上」|自動運転ラボ」も参照。