政府は2020年12月20日までに、2020年度第3次補正予算案を閣議決定した。新型コロナウイルスの感染防止対策や経済対策などが柱の補正予算案だが、国土交通省関係では「自動運転の実用化促進に向けた研究・基準策定の推進」も2億円の予算で盛り込まれている。
具体的には「国際的な自動運転の安全基準の策定に必要なデータを効率的に取得することを可能とし、また、国際基準策定を主導していくため、自動運転に係る様々な環境条件(天候、日照等)を再現可能な走行試験設備の整備を実施」としている。
これ以上の説明はいまのところないが、国際基準策定を主導していくためには、早期の予算計上によって取り組みを前進させることが必要だという判断とみられる。
▼令和2年度国土交通省関係第3次補正予算の概要
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001378258.pdf
■2021年度の自動運転関連の概算要求にも注目
ちなみに2020年度予算とは別に、2021年度予算の自動運転関連の概算要求の内容もすでに明らかになっている。中でも国土交通省自動車局による内容は、特に自動運転業界の関係者もよく知っておいた方が良さそうだ。
以下が国土交通省自動車局による概算要求の内容となっている。
- 無人自動運転移動サービス車両の事業化に向けた技術要件の検討(新規)/3,000万円
- 自動運転バス車両の開発促進(継続)/1億5,000万円
- 自動運転技術等の実用化に向けた技術基準の整備・国際標準化の推進(継続)/7億6,400万円
- 自動運転技術に対応した関連諸制度(整備・検査・型式認証)の高度化(継続)/7,300万円
- 自動運転車等事故分析事業の推進(継続)/4,000万円
- 自動運転車用環境試験設備の整備(新規)/2億円
- 自動配送ロボット制度の整備(新規)/2,000万円
7つの項目のうち、新規事業として「無人自動運転移動サービス車両の事業化に向けた技術要件の検討」、「自動運転車用環境試験設備の整備」、「自動配送ロボット制度の整備」が挙げられていることに注目したい。
「無人自動運転移動サービス車両の事業化に向けた技術要件の検討」に関しては、2020年度までに実施された無人自動運転移動サービスの実証実験の結果を踏まえ、2021年度以降に全国でサービスの事業化を目指すとしている。
「自動運転車用環境試験設備の整備」に関しては、自動運転車両はどのような環境でも自動運転システムが確実に作動する必要性があるとした上で、道路構造や天候などあらゆる環境を再現可能な走行試験設備を整備するとしている。
「自動配送ロボット制度の整備」に関しては、コロナ禍に伴って宅配需要や非接触型の配送ニーズが高まっていることを受け、新たな自動配送ロボットのサービス実現に向けて必要な制度や設備などを検討する調査を行うとしている。
■自動運転業界に関係する人はぜひ目を通しておこう
国土交通省自動車局関係の2021年度予算概算要求概要については「https://www.mlit.go.jp/common/001365005.pdf」から確認できる。自動運転業界に関係する人はぜひ目を通しておいてほしい。
ちなみに2021年度予算の概算要求は12月21日ごろ閣議決定される見通しとなっている。
【参考】関連記事としては「【対談】「自動運転×法律」、日本は進んでる?遅れてる? 佐藤典仁弁護士と自動運転ラボが最前線について語る」も参照。