トヨタ自動運転子会社TRI-AD、「SmartCityX」参画で未来の街作り

米VCが主催、スタートアップと協業



SmartCityX全体像=出典:トヨタプレスリリース

自動運転関連ソフトウェアの先行開発を担うトヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント株式会社(本社:東京都中央区/CEO:ジェームス・カフナー)=TRI-AD=は2020年8月31日までに、東京にも拠点を有する米ベンチャーキャピタル(VC)「スクラムベンチャーズ」が主催するオープン・イノベーション・プログラム「SmartCityX」に参画することを発表した。

SmartCityXは、大企業とスタートアップが「ニューノーマル時代のスマートシティ」をテーマに事業共創に取り組むプログラム。コロナ禍で今までの「当たり前」が変化している中、新しいテクノロジーやビジネスモデルを通じて社会課題の解決を行い、「未来のまち」を創っていこうという試みだ。


■重点領域は6分野、TRI-ADは「モビリティ」担当?

重点領域として以下の6分野が想定されており、トヨタ子会社であるTRI-ADは「モビリティ」分野における参画が中心となると考えられる。自動運転や次世代のモビリティ・ハードウェア、ナビゲーションなどの開発を通じ、新たなサービスの提供と暮らしやすさの向上に貢献していくことになりそうだ。

  • コンシューマープロダクト&サービス
  • モビリティ
  • スマートビルディング
  • エネルギー&資源&サスティナビリティ
  • インフラストラクチャ
  • ソーシャルイノベーション

今回の取り組みは特定の地域や自治体での実施を想定しておらず、さまざまな場所に適用可能なサービスやアプリケーションを作ることが目的とされている。

現在は参加するスタートアップ企業を募集している段階であり、選考を経て、2021年1~6月にかけてメンタリングや事業開発を行っていく予定となっている。

■トヨタ自動車、「街」全体を事業視野に

TRI-ADはトヨタが中心となり、アイシン精機とデンソーとの共同出資によって2018年に設立された。AI(人工知能)や自動運転の研究拠点であるアメリカのToyota Research Institute(TRI)とトヨタ本体をつなぐ存在という側面も有している。


2020年に入ってからは、NTTデータやダイナミックマップ基盤(DMP)などと共同で自動運転用の高精度地図に関する実証実験でも成果をあげており、他社とのコラボレーションが推進されている。

2021年1月からは同社を持株会社の「ウーブン・プラネット・ホールディングス」と事業会社「ウーブン・コア」「ウーブン・アルファ」に分社化することも発表され、トヨタが静岡県裾野市で開発予定のコネクティッドシティ「Woven City」の推進にも積極的に関わる予定だ。

そういう意味で、「ニューノーマル時代のスマートシティ」をテーマにしたSmartCityXプログラムにTRI-ADが参画するということには合点がいく。車を製造する企業から「モビリティカンパニー」への変革を掲げているトヨタの事業視野は広い。

【参考】関連記事としては「自動運転関連ソフト開発のトヨタTRI-AD、事業拡大へ組織再編を発表」も参照。


記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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