国土交通省は2020年8月9日までに、2019年度に続き公募していた「スマートシティモデルプロジェクト」について追加選定したと発表した。
先駆的であることに加えて早期の社会実装が見込まれる「先行モデルプロジェクト」を7事業、国が重点的に支援をすることで早期の事業化を促す「重点事業化促進プロジェクト」を5事業、それぞれ選定したという。
自動運転技術やMaaSの導入を目指したプロジェクトも多く選ばれた。
記事の目次
■プロジェクトが2年目に突入
スマートシティモデルプロジェクトは、先進的技術をまちづくりに活かし、生活や都市インフラを飛躍的に高度化・効率化することで、都市や地域の課題を解決することを目指すものだ。
今回、2019年度に選定した先行モデルプロジェクトに加え、全国の牽引役となる先駆的なプロジェクトを公募していた。
新たに選定された「先行モデルプロジェクト」は下記の7事業だ。
- さいたま市スマートシティ推進事業(埼玉県さいたま市)
- 羽田空港跡地第1ゾーン整備事業(東京都大田区)
- スマート・プランニングをエンジンとしたクリエイティブシティの実現(新潟県新潟市)
- スマートシティ実現で増幅するエリアの引力(愛知県岡崎市)
- うめきた2期地区等スマートシティモデル事業(大阪府大阪市)
- 加古川スマートシティ事業(兵庫県加古川市)
- 荒尾ウェルビーイングスマートシティ(熊本県荒尾市)
「重点事業化促進プロジェクト」は下記5事業となる。
- ロボットのまち南相馬の復興に寄与するロボットを社会連携インフラとするまちづくり(福島県南相馬市)
- 水戸市スポーツ・観光スマートシティ(茨城県水戸市)
- 熊谷スマートシティ推進協議会(埼玉県熊谷市)
- 東村山市におけるSociety5.0実装事業(東京都東村山市)
- スマートシティ推進事業(石川県加賀市)
■自動運転技術やMaaSの導入を目指す取り組み
ここからは選定されたプロジェクトの中から、自動運転技術やMaaSの導入を目指す取り組みをピックアップして紹介していこう。
自動運転技術やMaaSシステムを活用した「スマート・ターミナル・シティ」
「さいたま市スマートシティ推進事業」では、大宮駅やさいたま新都心周辺地区を対象に、ICT技術や次世代モビリティによる複合サービスの提供や、ビッグデータの活用により交通結節点とまちが一体となった「スマート・ターミナル・シティ」を目指すという。
歩行回遊性の向上や市民の健康促進のため、シェア型マルチモビリティの自動運転サービスを充実させることや、MaaSによるシームレスな移動を実現することなども目標としている。
2020年度は、シェア型マルチモビリティサービスとダイナミック・モビリティハブ実証、各種モビリティからのビッグデータを活用したスマート・プランニングの実証に取り組むという。
スマートモビリティやロボットのデータを相互に活用
「羽田空港跡地第1ゾーン整備事業」ではまず、街全体を対象とした「空間情報データ連携基盤」を整備する。
そして、自動運転バスなどのスマートモビリティによる交通弱者の移動手段の確保や、スマートロボットによる自動配送などが可能な環境整備、相互のデータを活用した新ビジネスの創出などを目指す。
2020年度は、最先端モビリティやロボットの導入、サービスの高度化実証などを実施予定だ。
観光地での自動運転バス活用やAIを活用した公園管理
「うめきた2期地区等スマートシティモデル事業」は大阪の夢洲地区において、最先端技術の導入や実証実験を行いやすい環境を活かし、データ活用プラットフォームを整備した上で「事業創出」「市民のQOL向上」「マネジメントの高度化」を目指すという。
具体的には、交通弱者や観光客の移動快適性の確保などに向けて自動運転バスやパーソナルモビリティを導入することや、建物や公園の維持管理のコスト削減のため、ロボットやAI(人工知能)技術などを活用した遠隔公園管理システムの導入に取り組む。
2020年度は、パーソナルモビリティや遠隔緑地管理システム、遠隔操作ロボットの実証実験に取り組むという。
■【まとめ】いよいよ社会実装ステージへ
選定された先行モデルプロジェクトの中の4つのプロジェクトでは、2020年度末までに一部のサービスで社会実装をスタートさせる予定となっている。
日本だけではなく、既存の街のスマートシティ化やゼロからスマートシティを作るプロジェクトは、世界においていま積極的に取り組まれている。
トヨタが独自に2021年から着工するスマートシティ「Woven City」についても、今回選定されたプロジェクトと合わせて、注目していきたい。
【参考】関連記事としては「自動運転導入を目指している世界のスマートシティ計画まとめ」も参照。