新製品開発のコンサルティング事業などを展開する英ケンブリッジコンサルタンツは2020年7月21日までに、安価なセンサーとカメラの低解像データをAI(人工知能)と融合させ、高解像度の深度データ(センサーから物体までの距離)を生成するシステム「EnfuseNet(エンフューズネット)」を開発したと発表した。
自動運転では、深度データの作成においてはLiDARの搭載が最も有力なアプローチと言えるが、高額なLiDARを搭載するのは特に大衆向け車両では現実的ではない。一方、価格が安めのレーダーでは、高解像度の画像構築に必要な深度情報が取得できないという課題がある。
エンフューズネットは1つ数千円程度のカメラを用いるシステムのため、コストを抑えられるという強みがあるようだ。大衆車の自動運転化の推進につながりそうだ。
■「完全に新しいアーキテクチャに基づいています」と説明
ケンブリッジコンサルタンツは、MaaS(Mobility as a Service)やスマートインフラストラクチャを含め、自動車業界で多くの実績を積み重ねている。エンフューズネットの基礎となるモデルについては、報道発表では以下のように説明されている。
「畳み込みニューラルネットワーク(CNNs / Convolutional Neural Networks)、完全畳み込みニューラルネットワーク(FCNs / Fully Convolutional Neural Networks)、学習済要素、転移学習、多目的学習、また深度予測パフォーマンスを最適化するその他のアプローチなどを融合した、完全に新しいアーキテクチャに基づいています」
同社の輸送・インフラグループを率いるトーマス・カーモディ氏は「私たちは、高価格であるADASやテクノロジーに着目するところから始めました」とした上で、「最先端のAIを駆使したセンサーシステム設計における30年の知見を応用し、この画期的なシステムを作り出しました」と強調している。
エンフューズネットについては、同社の公式ページから実際の動作状況などが確認できる。興味がある人は「https://enfusenet.com/」(日本語)からアクセスしてみてはいかがだろうか。
【参考】LiDARについては「LiDARとは? 自動運転車のコアセンサー 機能・役割・技術・価格や、開発企業・会社を総まとめ|自動運転ラボ」も参照。