NTTとゼンリン、地図高度化でタッグ 自動運転やMaaS分野でビジネス拡大へ

IoT・AI時代に向けて資本業務提携



日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区/代表取締役社長:澤田純)=NTT=と、地図情報大手の株式会社ゼンリン(本社:福岡県北九州市/代表取締役社長:髙山善司)は2020年3月31日までに、資本業務提携によりIoT・AI時代に向けた地図の高度化に取り組んでいくことを発表した。


NTTはセンシングデータをリアルタイムに高精度空間情報に統合し、各産業基盤とのデータの融合や未来予測を実現する「4Dデジタル基盤」の研究開発に着手している。ゼンリンはグループが保有している位置情報の最適化を進め、MaaSや自動運転領域への活用を加速している。

今回の資本業務提携では、NTTグループの高精度測位技術や高精度な地図整備・インフラ維持管理のノウハウと、ゼンリンの多様な収集情報を含む地図制作ノウハウを融合し、MaaS・自動運転分野、スマートシティなどの分野におけるビジネス拡大を目指していくようだ。

具体的な取り組みとしては、高精度な情報をカバーする「高度地理空間情報データベース」を2020年度から共同で構築していくという。なお、NTTはゼンリンの実施する自己株式の第三者割当を引き受けることで、ゼンリン普通株式420万株(発行済株式総数の7.32%)を取得する予定となる。

■NTTとゼンリンの次世代モビリティ領域での取り組みは?

NTTグループもゼンリンも、近年は次世代モビリティ領域を含む関連事業に力を注いでいることで知られる。


NTTグループは最近ではスマートシティへの取り組みを共同で行うことを目的に、トヨタ自動車と資本業務提携を結んだことを発表している。千葉市とは2019年に包括連携協定を結び、自動運転技術やMaaSの普及を含む未来の街づくりに共同で取り組んでいくことを発表している。

ゼンリンは2020年2月、AI(人工知能)を活用した地図データの作成に関する研究開発などを行う新規事業開発拠点「長崎R&Dブランチ」を開設すると発表している。新拠点では地図データの更新の自動化や省人化を目指した研究を行うという。もちろん、自動運転を意識した動きだ。

■自動運転領域では連携・提携が加速

自動運転領域では昨今、連携・提携などが加速している。自動運転社会に向けて必要とされることが定まってきたことから、技術やサービスの実用化に向けて各社が研究開発に本腰を入れ始めている印象で、開発力アップに向けた今回のような連携・提携は今後増えていきそうだ。

【参考】関連記事としては「【スピーチ全文】トヨタ章男社長「日本背負う」 NTTとの会見」も参照。


記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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