道路の3次元点群データの活用案を募集していた国土交通省は2020年3月30日までに、民間企業6社の10案を選定したことを明らかにした。同省は今後、案を提案した企業と実用化に向け調整を行い、実証実験などを通じた検証を行っていくという。
募集した活用案の定義は「国が保有する3次元点群データを活用し、道路交通上の課題解決等に繋がる利活用案で国内の関連法令・技術基準を満たすもの」だ。3次元点群データには道路面上の区画線や標識などの位置情報が含まれる。
国土交通省によると、2019年12月16日から約1カ月公募を行い、企業8社から計12案の提案があった。名古屋大の高田広章教授と法政大学の今井龍一准教授から意見を得た上で、適用制と妥当性、有用性、先進性、実現性の5つの観点から評価・選定を行ったという。
■ダイナミックマップ基盤とアイサンテクノロジーの案などを選定
10案の中には自動運転関連のものも含まれ、自動運転向け高精度地図の作製を進めているダイナミックマップ基盤(DMP)社の案として、「自動運転用地図の効率的な生成・更新」「自動運転用地図とプローブ情報の紐付け」「自動運転用地図によるジオフェンスの作成」が選ばれている。
・自動運転用地図の効率的な生成・更新
〜時期や密度の異なる3次元点群データを接合し、自動運転用の地図を効率的に生成。自社保有の3次元点群データも利用して地物変化情報を自動的に収集、更新。
・自動運転用地図とプローブ情報の紐付け
〜自動運転用地図上に車道および車線リンクを生成し、プローブ情報等を付与。
・自動運転用地図によるジオフェンスの作成
〜道路区域と民有地の境界、車道と歩道の境界等必要な境界にデジタル情報による「ジオフェンス」を作成。
自動運転実証の常連企業とも言える土木測量ソフト開発大手のアイサンテクノロジーの案としては、「高度安全運転支援用の数式軌道データ作成」が選ばれた。
・高度安全運転支援用の数式軌道データ作成
〜運転手やセンサで認識できない道路の線形や勾配等の情報を3次元点群データから抽出し、道路線形を解析し、環境負荷の小さい安全で快適な自動走行が可能となる軌跡データを作成。
■3次元点群データの活用が欠かせない自動運転
自動運転車が将来的に公道を安全に走行できるようにするためには、3次元点群データの活用が欠かせない。国が保有している情報を積極的に民間企業に提供することで、いち早い自動運転向けマップデータの整備につながりそうだ。
ちなみにダイナミックマップ基盤とアイサンテクノロジーの案を含む選定結果は「http://www.mlit.go.jp/report/press/content/001330689.pdf」から閲覧することができる。
【参考】関連記事としては「【最新版】ダイナミックマップとは? 自動運転とどう関係? 意味や機能は?」も参照。