成田国際空港株式会社(本社:千葉県成田市/代表取締役社長:田村明比古)は2020年1月29日までに、今年開催される東京五輪に向けて警備体制を強化するため、自律走行が可能な最新型警備ロボットを空港第3ターミナルに導入すると発表した。同社が進めるロボット導入の取り組みの第3弾となる。
■明治大学発スタートアップのロボットを選定
成田空港では2019年6月、警備の強化を目的として、セコム社製の自律走行型巡回監視ロボット「X2」が第1ターミナルと第2ターミナルに計4台導入されている。
今後の旅客数増大が見込まれる第3ターミナルでは、足回りの面積が小さく人込みや狭い通路などでも機動性が高いロボットが有用だと判断され、明治大学発スタートアップのSEQSENSE(シークセンス)が開発する「SQ-2」が選ばれた。
SQ-2は遠隔でリアルタイムでのロボット操作・監視が可能なことに加え、高度な空間認識3Dセンサーによって自律走行が可能であることが特徴だ。報道発表によれば、全ターミナルに警備ロボットを配備することにより、効率的な館内警備体制の構築を目指すという。
■アルソックや米スタートアップなど、開発企業増加中
自律走行可能な警備ロボットを導入する取り組みは、最近盛んになってきた。前述のセコムやSEQSENSEのほか、大手警備会社のアルソックも2019年3月に自律移動型警備ロボット「REBORG-Z」を発表している。
REBORG-Zではアルソックが30年以上の研究で培った自律移動技術が活用されており、外国語対応や火災検知、顔認証などさまざまな機能を搭載している。空港やオフィス、工場などの施設の種類に合わせたカスタマイズも可能で、屋外利用にも対応している。
2013年設立のスタートアップ企業である米ナイトスコープの警備ロボットにも注目が集まる。高性能センサーの検知データを瞬時に解析することで暴行や不法侵入などの犯罪行為や火災などを検知でき、アメリカ国内のさまざまな施設で実用化が進められている。
同社の警備ロボットに関しては、実際に導入した場所で「自転車の盗難数が減った」や「警備員が泥棒を捕まえるサポート役として役立った」などという声が寄せられているようだ。
そのほか、中国やヨーロッパの大手企業やベンチャーでも自律走行の警備ロボットの開発に力を入れている企業が少なくない。公道上ではない建物の中などであれば導入のハードルも低いため、自動運転技術の商用利用がいち早く広がることが期待されている領域だ。
【参考】関連記事としては「自動運転の警備AIロボット11選!空港で街で当たり前の時代へ」も参照。