Google系の自動運転開発企業である米Waymoは、同社の自動運転システム「Waymo Driver」が人間による運転より安全性が高いという調査結果を発表した。
それによると、Waymo Driverは人間の運転と比較し衝突率を57%削減するという。さらに傷害を伴う衝突率については、85%削減するという結果が出ている。どんな調査が行われたか、詳しく見ていこう。
■完全自動運転と手動運転を比較
Waymoは2023年だけで70万回以上のドライバーレスの自動運転タクシーサービスの提供を行ってきた。これは安全性を最優先にしなければ達成できなかった目標であり、車両の測定や透明性、パフォーマンスを向上させるために日々取り組んでいるという。
そこで、同社はWaymo Driverと人間による運転の衝突率を比較した。自動運転と人間による運転の安全性を比較する単一の指標は現状無いが、Waymoは評価指標の1つとして、走行距離あたりの車両事故件数を参照している。
具体的には、アリゾナ州フェニックやカリフォルニア州サンフランシスコ、ロサンゼルスの3都市で、2023年10月末までに24時間365日間、完全自動運転で走行した714万マイル(約1,149万キロ)以上において、報告された事故データをまずは抜き出した。そのデータを、警察への報告や負傷者、物的損害をもたらした人間による運転の事故率と比較した。
■衝突率、人間の運転より57%低減
調査の結果、警察報告による衝突率について、自動運転車は人間の運転より57%低減できることが判明した。100万マイルあたりの衝突発生件数としては、人間による運転4.85件に対して、Waymo Driverは半分以下の2.10件となっている。
また、軽傷から重傷、死亡事故までのあらゆる傷害を伴う衝突率については、自動運転車は人間の運転より85%低減できた。100万マイルあたりの傷害を伴う衝突発生件数は、人間による運転2.78件に対し、Waymo Driver0.41件と、圧倒的な安全性を示した。
それぞれの都市での衝突率を個別に比較した場合でも、Waymo Driverは人間による運転より衝突の割合がかなり低いことが分かった。ただしロサンゼルスについては、自動運転サービスを開始したばかりのため、まだ統計的に十分な走行距離には至っていないという。さらに、Waymo Driverは人間による運転と比較して物的損害率も低いことが判明したようだ。
なお今回の調査だが、同じエリアであっても運転する人間の種別により、結果がかなり異なってくることが予想されると、Waymoは言及している。
■安全性確保に邁進するWaymo
自動運転車が人間の運転より安全性が高いという調査結果を、今回Waymoは示した。同社によると、この衝突率の比較はWaymo Driverのパフォーマンスを評価するために使用される数ある手法のうちの1つに過ぎず、定期的にさまざまな側面で調べることが必要であるとしている。
また、安全への取り組みだけでなく、周囲のクルマや人を尊重し、不必要な交通渋滞や混乱を引き起こさないことも重要だと考えているという。ライバルの米Cruiseが自動運転ソフトウェアのリコールを発表し、自動運転開発が停滞してしまっている一方で、Waymoは自社システムの安全性確保に取り組み、それをうまくアピールしているという状況になっている。
【参考】関連記事としては「自動運転タクシー、「Google一強時代」に逆戻り GMの全台リコールで」も参照。