米軍、約200億円で空飛ぶクルマを6機導入へ 軍事利用も視野に

ベンチャー企業Archer Aviationと合意



出典:Archer Aviation公式YouTube動画

空飛ぶクルマの開発を手掛ける米Archer Aviation(アーチャー・アビエーション)は2023年8月7日までに、米空軍と総額1億4,200万ドル(約200億円)の新規契約を締結し、米国防総省とのパートナーシップを大幅に拡大したことを発表した。

この契約には、Archer AviationのeVTOL(電動垂直離着陸機)「Midnight」を空軍に最大6機納入することなどが含まれているという。米空軍が空飛ぶクルマによる部隊を編成する可能性が出てきた。


■Archer Aviationと米空軍の契約内容

Archer Aviationは2021年以来、米空軍のプログラム「AFWERX Agility Prime」を通じた一連のプロジェクトで米国防総省(DoD)と提携している。なおAFWERXは、商業や軍事目的の航空機技術開発を支援する米空軍の機関のことだ。このプログラムで同社は、eVTOL市場と技術の変革の可能性を評価できるよう支援している。

Archerは、Midnight初号機の製造を最近完了しており、最大6機を米空軍に納入する。そのほか追加の飛行試験データや認証関連の試験報告書を共有することや、パイロット訓練を実施すること、保守・修理業務を開発することなどが契約内容になっている。

■ユナイテッド航空とも提携

2018年設立のArcher Aviationは、米カリフォルニア州に本拠を置き、都市部のエアモビリティネットワークで使用するeVTOLの開発を手掛けている企業だ。2021年9月にニューヨーク証券取引所にSPAC上場した。

2021年8月には、米航空大手のユナイテッド航空がArcherのeVTOLに1,000万ドル支払ったと米メディアが報じている。両社は同年2月に提携を交わしており、ユナイテッド航空は米メサ航空と協力し、ArcherのeVTOLを最大200機購入する意向を示しているという。1,000万ドルは、その事前支払であったようだ。


2023年1月には、欧州の自動車メーカーであるステランティス(旧FCA)がArcherとeVTOLを共同で開発・製造することを発表した。Midnightの実用化に向け、ステランティスが協力し、2024年から製造を開始する予定だ。

■パートナーシップ、さらに拡大か

今回の米国防総省とArcherのパートナーシップ拡大に関し、AFWERX Agility Primeの責任者は「Archerとの契約は、同社のeVTOLが初期段階から米軍に多くの利点を提供する」と述べている。

米大手航空会社のみならず、米空軍や米国防総省ともパートナーシップを結んでいるArcher Aviation。同社の事業は今後さらに加速していくのか。

▼Archer Aviation公式サイト
https://www.archer.com/

【参考】関連記事としては「米航空大手、空飛ぶクルマに1,000万ドルの事前支払い」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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