ティアフォー、「自動運転レベル4」EVの量産開始へ

車体架装メーカー・トノックスとタッグ



出典:ティアフォー・プレスリリース

自動運転OS(基本ソフト)の開発で注目される株式会社ティアフォーは2023年6月27日までに、車体架装メーカーの株式会社トノックス(本社:神奈川県平塚市/代表取締役社長:殿内荘太郎)との協業を開始したことを発表した。

この協業は、レベル4水準の自動運転機能に対応した商用車両の生産を加速させることが目的で、トノックスの平塚工場でレベル4自動運転EV(電気自動車)の量産を行う予定だとしている。


自動運転レベルは0〜5の段階で示され、一般的に「レベル4」は特定エリア・特定条件下において、いつでもどこでも自動運転が可能な段階を指す。

【参考】関連記事としては「自動運転レベルとは?(2023年最新版)」も参照。

■両社の協業内容は?

ティアフォーによると、既存の商用車両に対してレベル4水準の自動運転機能を追加するためには、車両の特殊設計を担うパートナー企業が必要不可欠だという。

トノックスは官公庁向け特装車設計・製作の経験が豊富で、敷地面積4万6,000平方メートルの平塚工場では年間3,000台以上の生産を行っている。また軽乗用車などの小型車両からバス・トラックなどの大型車両まで幅広い車種に対応しており、車両改造や部品・電装品の艤装に関する高度なノウハウや特殊仕様への対応能力を持ち、生産体制を確立しているという。


今回の協業では、ティアフォーが策定した「レベル4自動運転化ガイドライン」に従い、トノックスの平塚工場においてレベル4水準の自動運転機能に対応するための電動化・冗長化対応やボディの設計、製造、構築などをまず最初に実施するという。それによりレベル4自動運転EVの量産を目指す。

将来的には生産対象車種をさらに拡充し、両社の強みを生かしながら自動運転技術の社会実装を推進していくようだ。

■レベル4自動運転化ガイドラインの内容

なおレベル4自動運転化ガイドラインは、保安基準の適合を含む量産向け自動運転EVの全体設計指針だ。自動運転技術の発展およびレベル4自動運転の社会実装に貢献することを目的にしている。

このガイドラインをもとに同社が参画する自動運転用オープンソースソフトウェアの国際業界団体「The Autoware Foundation(AWF)」へ提案し、業界標準化を進めていくという。


▼レベル4自動運転化ガイドライン公開のお知らせ
https://www.tier4.jp/media/detail/?sys_id=522EWHz4fluXBhAy4uUlt1&category=NEWS

■ティアフォーの自動運転レベル4開発
出典:ティアフォー・プレスリリース

ティアフォーは2023年6月20日に、ホワイトレーベルEV「ファンファーレ」を発表した。これは自動運転機能に対応した電気自動車の生産を加速させる新たなソリューションだ。

同社は完成車メーカーと提携し、完成車メーカーから提供される車両に対して、ステアリングやブレーキ等の駆動系の電動化モジュールと、レベル4水準の自動運転機能に対応した電気電子アーキテクチャを開発した。これにより、後付けのソフトウェアによってサービス提供時の自動運転機能を定義可能な設計を実現することができたという。

またレベル4自動運転化ガイドラインを策定したことにより、国内の工場で自動運転EVを生産できる環境を整えた。これらを活用し、ファンファーレというソリューションにより、顧客が自社ブランドを通じてレベル4水準の自動運転EVを製品化・販売・利用できるよう支援する。

■レベル4量産化に向けて

ティアフォーは、車体架装メーカーのリーディングカンパニーであるトノックスの豊富な経験と生産能力を味方につけ、さまざまな自動運転ソフトウェアの搭載が可能なホワイトレーベルEVの量産化モデルを構築し、ノウハウの公開によりあらゆる人がEVを生産できる事業を進めていくという。

さらなるレベル4機能搭載車の開発に向けて突き進むティアフォーに引き続き注目だ。

【参考】関連記事としては「自動運転、日本勢の新興ティアフォーとNVIDIAに接近の兆し」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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