ゼンリンのMaaSアプリ、利用金額に応じてクーポン発行

長崎で展開中の「STLOCAL」、周遊効果アップ



出典:ゼンリンプレスリリース

地図大手の株式会社ゼンリン(本社:福岡県北九州市/代表取締役社長:髙山善司)は2023年6月23日から、現在運営中の観光型MaaSアプリの新サービスとして、クーポンの提供を開始した。

同社が長崎県で展開している観光型MaaSアプリ「STLOCAL(ストローカル)」の登録店舗において、利用金額に応じて「STLOCALクーポン」を発行するというものだ。クーポンはSTLOCALショップでオリジナルグッズと交換できる。


他のMaaSアプリでも優待クーポンなどを取得できるシステムはこれまでもあったが、支払った金額によってクーポンを発行し、商品と交換できる仕組みは珍しい。

そして、交換したオリジナルグッズによってその地域のことをいずれ思い出し、また旅に出たくなるという良いサイクルにもつながりそうだ。

■観光型MaaSアプリ「STLOCAL」とは

ゼンリンは日本全国の「マイクロエリア(狭域な地域)」が抱える様々な課題に対して、移動情報と地図情報を活用して解決し、あらゆる地域の活性化に貢献する「ゼンリンマイクロMaaSソリューション」の提供に取り組んでいる。

この取り組みの第1弾として、長崎市で2021年12月からSTLOCALの提供を行っている。長崎市が持つ地形・歴史・文化の魅力を15のマイクロエリアに分割し、地域のすみずみまでまち歩きが楽しめる観光情報や、各エリアをつなぐストーリー型観光コースを提供することにより観光客の周遊を促進し、長崎市観光の体験価値向上を目指している。


STLOCALのウェブ版では観光情報の検索や閲覧をすることができる。またスマホアプリでは、地図・経路検索のほか、交通機関や観光施設などの電子チケットの購入を行うことができる。現在は長崎市のほか、佐世保・西九州、五島列島エリアを展開している。

■クーポン取得から使用までの流れ
出典:ゼンリンプレスリリース

まずSTLOCAL登録店舗にて食事の支払いやお土産の購入をする。そうすると、利用金額に応じSTLOCALクーポンが発行されるという流れになる。この取得もスマホアプリで行う。店舗QRコードを読み取った後で支払金額を入力すると、クーポンを獲得できるという手順になっている。

なおクーポンは、1,000円以上の支払いごとに100円分、最大5,000円以上の支払いで500円分となる。

取得したクーポンは、長崎市内に2カ所あるSTLOCALショップにて利用可能だ。STLOCALショップは2023年3月1日にオープンし、オリジナルグッズを販売している。


出典:ゼンリンプレスリリース
■MaaSを支えるゼンリンの技術

ゼンリンはMaaSを支える仕組みとして、1つの空間上であらゆるモビリティを可視化する「Mobility based Network」を提供している。

これは自動車用ネットワークや鉄道路線、駅構内通路、歩行者用ネットワークなどの移動に必要なあらゆるネットワークを組み込み、各ネットワークが交通結節点で接続することにより、MaaSに最適化された基盤データベースだという。

また経路探索や地図描画機能の提供のほか、収集した人流データを正しい位置に補正し、交通モードと紐づけて管理することで、分析に最適化するソリューションも提供している。

なお同社は、2023年2月から埼玉県秩父市と横瀬町における観光型MaaS事業「のってみ秩父」において事業の推進・運営統括やサービスモデルの検討支援、サービス運営支援を担っている。

地図情報においての絶大な信頼と実績があるゼンリンが手掛けるMaaSの取り組みは、今後さらに日本各地に広がっていきそうだ。

【参考】関連記事としては「「マイクロMaaS」とは一体?ゼンリン、長崎で実証実験第1弾」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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