さまざまな変革が起こっているモビリティ業界で、「ADAS」(先進運転支援システム)に対する需要はさらに高まっている。
ADASはドライバーをアシストする機能のことで、自動ブレーキ機能やレーンキープアシスト機能などがある。自動運転ではなく、人間による運転を前提としているため、いかにドライバーの注意散漫などによるアクシデントを回避できるかという点に注力し、技術開発を行っている。自動運転社会の到来の前に、現在の業界の主戦場はこのADASだ。
画像認識ソフトウェアの開発・販売を手がけるフィーチャ株式会社(本社:東京都豊島区/代表取締役社長:脇健一郎)は2023年6月8日までに、このADASに関し、自動車部品大手の独ボッシュと資本業務提携を行うことを発表した。
ADASシステム向け画像認識分野での、専門的なエンジニアリングサービスや技術の提供などが、今回の業務提携の目的になるようだ。また、ボッシュに対する第三者割当による新株式の発行を行う。
■日本の画像認識技術のリーディングカンパニー
2005年設立のフィーチャは、コンピュータビジョンやディープラーニング、機械学習の分野に注力し、最先端の画像認識アルゴリズムを開発している企業だ。ADAS向けには、物体検知ソフトウェアを開発している。
このソフトウェアは、各種物体検知に加え前方車・歩行者衝突、交通違反などの危険運転をリアルタイムで判定し、事故防止に寄与するという。同社は物体検知から危険運転判定までをパッケージ化したソフトウェアや、物体検知のみのソフトウェアを提供している。
2016年と2017年に第三者割当増資により、総額3億円の資金調達を行っている。また2018年1月には、トヨタ系ファンドから1億2,200万円の出資を受けている。
2018年3月に中国・北京市に開発拠点を設立、2020年6月には東証マザーズ(現在は東証グロース)に上場した。
■フィーチャ×ボッシュの提携内容とは?
フィーチャは、ADAS向け画像認識関連の技術実証実験を受託していたボッシュから提案を受け、検討の上、今回の資本業務提携に至ったという。今後ますます発展していく市場領域において、他企業とのアライアンスによって事業の拡大を図ることが重要であるとの判断によるものだ。
これにより、ADAS向け画像認識分野において新たな価値創造を提供できることと、開発パイプライン拡充への寄与によるフィーチャの長期安定的な収益基盤の確立につながることが期待される。
また、開発業務を着実に推進していくにあたり、ボッシュがフィーチャの株式を保有することにより、両社の関係をさらに深め、長期的な戦略パートナーシップを構築することになると判断し、今回の資本提携契約に合意したという。
■2社の連携によりADAS開発さらに強化
フィーチャは、主軸となるモビリティ事業のさらなる拡大を成長戦略として掲げている。そのため、国内・海外の車載カメラ市場において、より一層シェアの拡大を目指すにあたり、自動車部品世界シェア最大手であるボッシュとのADAS向け画像認識関連分野における関係構築が重要だと考えている。
そのため、エンジニアを中心とした専任チームを編成し、エンジニアリングサービスの提供を促進することを計画しているという。また、ボッシュとの共同開発のための開発環境構築を予定しており、そのための増員や事業施設の増床、情報セキュリティ体制の拡充などを行う計画だ。
両社のタッグによるADASの進化に期待したい。
【参考】関連記事としては「フィーチャ社、マザーズ上場承認 自動運転の画像認識でリーディングカンパニーに」も参照。