完全自動運転EV、2030年に1万台製造!日本のTURINGが宣言

車体開発受託の東京R&Dとパートナーに



出典:Turingプレスリリース

完全自動運転車両の開発を行う国内スタートアップのTuring株式会社(本社:千葉県柏市/代表取締役:山本一成)=チューリング=は、「打倒テスラ」といった野心的な目標を掲げている企業だ。

そんなチューリングは、2025年に自社オリジナルの自動運転EVを100台、2030年には完全自動運転EV1万台の製造・販売を目指しているという。「2030年に完全自動運転EV1万台」というのは、非常に野心的なターゲット設定と言えそうだ。


■2025年に100台、2030年に1万台

このチューリングが、研究車両・試作車両などの受託開発を手掛ける東京アールアンドデー=東京R&D=と戦略的パートナーシップを締結したことを、2023年3月1日に発表している。

チューリングのAI(人工知能)・ソフトウェア技術と、東京R&Dの車両開発の知見を生かし、自動運転EVを共同開発して、2025年に販売したい考えだ。まずは2023年にオリジナルのシャシを設計・開発し、機能を絞り込んだ試作車を製造する予定となっている。

そして2025年に100台、2030年に「完全自動運転」を実現した10,000台の自動運転EVの製造・販売を目指す。

チューリングの代表取締役である山本一成氏は「ゼロから完成車メーカーになることを目指しているチューリングにとって、東京R&Dが持つ長年の車両開発・製造経験はとても頼もしく、このような形でともに車両開発ができることを大変うれしく思っています」と語っている。


また東京R&Dの代表取締役である岡村了太氏は「チューリングが目指す『完全自動運転EVの量産メーカー』と、東京R&Dが目指す『個性的でユニークなモビリティメーカー』には、目指す方向性として共通するところが多い」とコメントしている。

■2021年設立ベンチャーのチューリング

2021年設立のチューリングは、「We Overtake Tesla」をミッションに掲げるスタートアップだ。AI技術により、場所や走行条件を問わずにいつでもどこでも自動運転を実現する「自動運転レベル5」(完全自動運転)の実現に向け、大きなスケールと勢いで開発を進めている。

2022年10月には北海道一周長距離走行プロジェクトを実施し、総走行距離1,480キロのうちの約95%の道のりを自動運転モードで走破している。またそのすぐ後には、 千葉県内で法人向けに自動運転車両の試乗会をスタートさせたことを発表している。

同年12月から開始している走行データ取得のフェーズ2においては、2023年末までに国内最大規模となる5万時間分の走行データベースの構築を目指している。


■量産体制の基盤作り、そして…

2025年に100台、2030年に1万台の自動運転EVの製造を目指すチューリング。ゼロから完成車メーカーになることを目指す同社にとって、今回のパートナーシップ締結により、将来の量産につながる流れを作ったと言える。

今後、開発をより一層加速させるであろうチューリングの動向に、引き続き注目していきたい。

【参考】関連記事としては「打倒テスラのTURING、完全自動運転へ「AI信号認識」技術」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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