国土交通省は2022年11月9日までに、北米における航空旅客向け自動運転車椅子移動サービス事業に対して、海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)が出資することを、JOIN法に基づいて国交相が認可したことを発表した。
JOINは、自動運転パーソナルモビリティを開発する日本のWHILLとともに、特別目的会社(SPC)を通じてWHILL傘下の米Scootaroundへ最大約23億円の出資を行う。
対象となった事業では、WHILLが開発している1人乗り用の自動運転パーソナルモビリティを用いて、Scootaroundが米国やカナダの空港施設内での移動サービスを展開する。
車椅子の介助スタッフを省人化でき、ソーシャルディスタンスも確保され、旅客がバリアフリーで快適に移動できるようになるという。
■「世界初」を実現したWHILLという企業
WHILLは羽田空港におけるWHILL自動運転サービスを2020年に開始した。これは世界初の空港での1人乗り自動運転パーソナルモビリティの実用化となった。2021年には羽田空港の国内線第1・第2ターミナル全域にサービスを拡張した。
2022年には成田空港において、エレベーターとの連携による階層移動の実証実験も実施している。現在も別のターミナルにおいて、実用化に向けて引き続き実証を続けているようだ。
関西国際空港においても、2022年10月から国内空港2例目となるWHILL自動運転サービスの導入が始まったばかりだ。
■JOINは2014年設立の官民インフラファンド
JOINとは、2014年に官民により設立されたインフラファンドのことだ。日本の知識や技術、経験を活用して海外の交通や都市開発などのインフラ事業を行う日本企業の海外市場参入を促進し、持続的な日本経済の成長に寄与することを目指している。
海外でのインフラ事業の実施・参画を検討する日本企業に対し、「共同出資」「運営・技術協力」「相手国政府との交渉」の3つを支援する。
「共同出資」では民間企業とJOINが共同出資することでリスクを分担できる。「運営・技術協力」では現地事業会社へ人材を派遣するため、運営や操業リスクを軽減する。
「相手国政府との交渉」では、JOINが政府系機関として参画することによって、交渉力を強めて政治リスクを軽減する。相手国は安全で信頼性の高いインフラを構築でき、事業運営における技術支援も受けられるようになる。
■日本の技術力を世界にアピール
今回出資対象となった事業を通じ、日本発の自動運転パーソナルモビリティが世界に展開されていくことは、自動運転という有望市場で日本の技術力をアピールすることにもつながる。海外でサービスを利用した人の反応も気になるところだ。
【参考】関連記事としては「歩く速度の半分で自動運転!「空港×電動車イス」の相性抜群」も参照。