トヨタマップマスター、純利益35%増!自動運転地図事業も

徹底調査で高い信頼性、MaaS参入も



出典:官報(※クリックorタップすると拡大できます)

トヨタ自動車の関連企業としてマップ関連事業を手掛ける株式会社トヨタマップマスター(本社:愛知県名古屋市/代表取締役社長:山田博之)の第24期(2021年4月〜2022年3月)の決算公告が官報に掲載されている。

第24期の純利益は2億1,453万円で、前期の1億5,800万円と比べ35%増となった。


■第24期決算概要
賃借対象表の要旨

▼資産の部(単位:千円)
流動資産 3,417,819
固定資産 2,635,862
資産合計 6,053,681
▼負債及び純資産の部(単位:千円)
流動負債 2,070,484
賞与引当金 293.590
その他 1,776,894
固定負債 517,644
退職給付引当金 427,580
その他 90,064
株主資本 3,465,553
資本金 480,000
利益剰余金2,985,553
利益準備金 120,000
その他利益剰余金 2,865,553
(うち当期純利益 214,530)
負債・純資産合計 6,053,681

■1998年設立、徹底した調査で高い信頼性

トヨタマップマスターは、カーナビゲーションやインターネット、携帯情報端末向けの地図データベースや施設情報の提供を担う企業として1998年に設立された。トヨタをはじめ、アイシン、デンソー、パナソニック、デンソーテン、ゼンリンが出資している。

2007年に世界初のカーナビゲーション用地図更新サービスの「マップオンデマンド」をスタートした。2009年にはウェブ上でカーナビゲーション用地図の更新情報を確認できるサービスの提供を、業界で初めてスタートした。2011年にはスマートフォン向けアプリへ地図データベースの提供を開始している。

同社はこれまで徹底した調査で高い信頼を得てきた。全国約53万カ所の交差点において、全て現地調査を行い、レーンや交通規制・ランドマークなどの情報を調べたり、高速道路が開通するとスタッフが現地に赴き、開通部分の本線・サービスエリア・パーキングエリアの標識の表記を調べたりしているようだ。


■「自動運転」関連の取り組みにも注目

トヨタマップマスターは自動運転向けの地図の制作拠点を海外に持ち、品質チェックや全体スケジュールの作成を国内で担っている。協力会社ともプロジェクトチームを組み、自動運転向け地図データ作成方法の検討やCADなどのシステム開発も行っているという。

同社は2016年、国内外の高精度3次元地図の作成・提供を手掛ける企画会社「ダイナミックマップ基盤企画」(2017年にダイナミックマップ基盤=DMP=として事業会社化)を、三菱電機とゼンリン、パスコ、アイサンテクノロジー、インクリメント・ピーとともに設立している。

MaaS分野にも進出しており、2022年1月にジョルダンやミックウェア、日本オラクルとの協業を発表した。多様な移動手段やサービスを組み合わせた新しいマルチモーダル・データ基盤を構築すべく実証を行うという。

■他社との連携で自動運転時代を切り開く

BtoB主体の事業形態で露出が少ないものの、自動運転時代に向けた地図情報の開発も手がけるトヨタマップマスター。国内の高精度3次元地図作成に関して基幹的役割を担うDMPの設立メンバーでもある。


デジタル地図や関連情報の価値が高まっていく流れのなか、他社との協業や連携でさらに躍進する可能性が高そうだ。

※官報に掲載された決算公告に関する記事は「自動運転・MaaS企業 決算まとめ」から閲覧頂くことが可能です。

【参考】関連記事としては「自動運転向け地図も製作!「トヨタマップマスター」とは?」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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