中国の国営通信社である新華社の報道によると、同国のベンチャー企業であるWeRide(広州文遠知行科技)の開発する自動運転清掃車の運用が、広東省広州市でスタートしたという。
以下のYouTube動画で、同社が開発した自動運転清掃車が運用されている様子を見ることができる。動画を見る限り、かなりスロウなスピードで道路を清掃しており、これなら万が一、衝突事故が起きても、重大な事故に発展する可能性が低そうだ。
■技術レベルは「自動運転レベル4」
WeRideは2017年に創業した中国のベンチャー企業で、報道によると、運用を開始したのは広州にある「広州国際バイオ・アイランド(広州国際生物島)」においてだ。車両には運転手が乗っておらず、同メディアは「完全自動運転」と表現している。
ちなみにこの自動運転清掃車は「Robo Street Sweepers」という名称で開発がされてきた経緯があり、WeRideのプレスリリースでは「自動運転レベル4」(高度運転自動化)の水準だと説明されている。
自動運転レベル4は「特定エリアにおける完全自動運転」を指し、特定エリア内では人間による介入を一切前提としない水準だ。
同社はこのRobo Street Sweepersの走行試験を2022年5月から行ってきた。ちなみにこの車両では、米NVIDIAが開発する「NVIDIA DRIVE プラットフォーム」が活用されていることでも知られる。
■マネタイズがしやすい「Slowな自動運転」
WeRideの「本命」事業は、自動運転タクシーや自動運転シャトルの開発・展開と言えるが、Robo Street Sweepersにようにスロウなスピードで自動運転するモビリティについては、マネタイズがしやすい可能性などがこれまで注目されてきた経緯がある。
例えば、ビル内で活躍する自動運転配送ロボットは低速走行で運用されるが、低速がゆえに、万が一、人とぶつかってもケガなどを負わせにくく、商用展開のハードルが低い。
もちろん、すでに公道をある程度はやい速度で走行する自動運転タクシーなどもすでにアメリカや中国で商用化されているが、事業展開の難しさやハードルを考えると、特に新興企業の場合は「まずSlowな自動運転でマネタイズを・・・」という方向性も十分に検討する価値はある。
「自動運転×低速×清掃車」に目を付けたWeRide。同社に関しては2022年内に上場を目指す動きもあり、今後も業界での注目度はますます上がっていきそうだ。
【参考】関連記事としては「年内上場か!?「レベル4自動運転」特化の中国WeRide」も参照。