東京都はこのほど、都庁舎に自律走行の警備ロボットを新たに配備することについて発表した。警備水準の向上と効率的な警備の実現に向けた取り組みの一環として行うものだという。
自律走行警備ロボットは2022年11月末までの期間内で60日間運用され、複数台を用いて巡回と立哨業務を行う予定となっている。
都庁舎で配備される予定となっている3種類の自律走行警備ロボットとは、どのような企業のロボットなのか。詳しく見ていきたい。
■SEQSENSEの「SQ-2mk2」
1つ目は、明治大学発のロボットベンチャーであるSEQSENSE(シークセンス)が開発した「SQ-2mk2(エスキューツーマークツー)」だ。
SQ-2mk2は、独⾃の3次元センサー技術や⾃⼰位置推定技術、リアルタイム経路計画技術を駆使することで、⾼い⾃律移動性能を有しているロボットで、これまでに同社が展開したロボットから得られたデータ・意見などを元に、さまざまな改良がなされているようだ。
例えば同社の報道発表では、以下のように説明されている。
「ロボットで撮影した映像の視認性が向上し、遠隔からの監視をより効果的に実施することができます。また3DLiDARの死⾓の減少、フロアライトの搭載、駆動部の安定性の向上など、より安全に施設内を⾛⾏することが可能です」(出典:https://www.seqsense.com/news/assets/pdf/20220630.pdf)
■セコムの「セコムロボットX2」
2つ目は、警備サービス大手のセコムが開発した「セコムロボットX2」だ。セコムロボットX2は、2019年6月にサービス提供が開始され、成田空港で導入された。国内空港で警備ロボットが導入されたのはこれが初めてであった。
レーザーセンサーで自己位置を特定しながら敷地内の巡回ルートを自律走行し、搭載したカメラで画像監視を行うことができる。また、赤外線センサーや熱画像センサー、金属探知機を内蔵したアームが搭載されているため、巡回中に発見した放置物やルート上に置かれたごみ箱などを点検することも可能だ。
音声とランプによる威嚇機能も備わっており、犯罪抑止としても期待できる警備ロボットだ。
■セコムの「cocobo」
3つ目もセコムが開発したロボットで、「cocobo(ココボ)」だ。
cocoboは、セコムロボットX2が搭載している機能に加え、AI(人工知能)や5Gといった最先端技術を活用したセキュリティロボットとして2021年6月に発表され、2022年1月から発売されている。
人が警備をする際に必要不可欠な「視覚・聴覚・臭覚・触覚・判断力」が備わっていて、常駐警備員と連携することで業務効率化や品質向上を実現している。
アームを搭載することで、ごみ箱内の熱源の検知や施錠確認といった点検業務を行うことができる。そのほか、カメラ映像とセンサー情報をAI解析し、施設内の滞留者や転倒者を検知し可能となっている。爆発音や悲鳴など、大きな異常音の検知も可能だという。
音声やライトでの警告、煙を使った威嚇といった機能も装備しており、警備水準の向上が期待できる。
■人とロボットがうまく連携できる分野
今や自律走行警備ロボットは、空港のみならず商業施設やオフィスビルなどで見かける事も珍しくなくなってきた。人とロボットがうまく連携できる分野の1つとして、警備での自律走行ロボットの活用はさらに広がっていきそうだ。
ちなみに都庁で警備ロボットが撮影した画像や映像データについては、東京都は「庁内既設の防犯カメラの運用に準じて厳重に管理し、配備期間終了後、速やかに削除します」と説明している。
【参考】関連記事としては「自動運転と東京(2022年最新版)」も参照。