農業機械の販売やメンテナンスなどを手掛けるヤンマーアグリ株式会社(本社:大阪府大阪市/代表取締役社長:北岡裕章)は、2018年10月から自動運転トラクターを順次発売すると発表した。経営の大規模化や就農者の減少・高齢化による人手不足といった課題を抱える農業分野において、自動運転技術が大いに貢献しそうだ。
発売するのは、無人運転が可能な「ロボットトラクター」と最小限の操作が必要な「オートトラクター」。すでに所有している同社の「YTシリーズ」のトラクターを自動運転仕様に変更するアップグレードキットも販売する。
操作や設定にはタブレット端末を使用する。情報はアイコンやイラストで表示され、作業領域や経路作成、運転中の軌跡確認など簡単に操作できる。2台のトラクターでの協調作業時には、随伴・併走する有人トラクター内で近距離監視を行いながらタブレットで無人トラクターを操作することもできる。
位置情報は、衛星(GNSS)と基地局からの電波を取得してトラクターに補正情報を送るほか、オプションでヤンマー独自の基地局を設置することで高い精度での補正情報取得が可能になる。
■「直進のみ自動」「旋回も自動」の2モード切替可
自動運転モードは2パターンあり、直進のみを自動で行い、旋回などの運転操作は手動で行う「直進モード」と、旋回にともなうハンドル操作や作業機の昇降などの操作も自動で行う「オートモード」が用意されている。オペレーターの人数や作業者のスキル、作業内容に応じて自由に切り替えることができる。
無人で作業可能なロボットトラクターには、レーザーや超音波で物体との距離を計測するセンサーや、全方向から自動走行の状態を確認できる3色のセーフティランプが付いているほか、自動運転中にエンジンが停止すると自動ブレーキがかかるセーフティブレーキも備えている。
また、既存のYTトラクターも、工場での改装によりオート仕様、ロボット仕様にアップグレードすることが可能なため、新たにトラクターを購入せずに済む。
価格は、オートトラクターが1072万5000円~1407万5000円、ロボットトラクターが1214万5000円~1549万5000円で、同社はアップグレードキットを含め年間100台を販売目標に掲げている。
【参考】ヤンマーのロボットトラクターの詳細情報は「ヤンマー公式サイト」で確認できる。