ホンダと日産と言えば、自動車メーカーとしてライバル関係にあるが、どうやら「空飛ぶクルマ」の領域での戦いも新たに始まる模様だ。
ホンダは2021年10月3日までに、「Honda eVTOL」の開発の進捗について発表した。eVTOLは「電動垂直離着陸機(electrical Vertical Take Off and Landing)」のことで、空飛ぶクルマの類型の1つとされており、ヘリコプターのように垂直で離着陸することができる。
一方トヨタはeVTOLを開発している米Joby Aviationへの出資を2020年1月に発表し、空飛ぶクルマ業界に参入している。トヨタとホンダ、果たしてどちらが空飛ぶクルマの領域で覇権を握るのだろうか。
【参考】関連記事としては「eVTOLとは?「空飛ぶクルマ」の類型の一つ、開発盛んに」も参照。
■「都市間」移動の実現も目指すHonda eVTOL
ホンダは、航空機事業子会社のホンダエアクラフトカンパニーが開発した小型ビジネスジェット機「HondaJet」をさらに身近な製品とするため、さまざまなコア技術を生かしてHonda eVTOLの開発を進めているという。
民間旅客機と変わらない安全性や離着陸の静粛性などが強みとなるようだ。また、従来のeVTOLはバッテリー容量が少ないため航続距離が短く、せいぜい「都市内」移動が限界だったが、ホンダの電動化技術を生かすことで「都市間」移動の実現が期待されるという。
■トヨタはJoby Aviationへの出資で間接的参入
一方のトヨタは、2020年1月にeVTOL開発において米Joby Aviationとの協業を発表し、3億9,400万ドル(約430億円)の出資を発表している。この協業と出資により、トヨタは空飛ぶクルマの領域に参入した。
Jobyは2009年に設立されたスタートアップで、2024年までにeVTOLを活用したエアタクシーサービスをスタートさせることを目指している。2021年8月11日にはSPAC(特別買収目的会社)を通じてニューヨーク証券取引所に上場している。
2021年中に、広さ約4万2,000平方メートルの機体製造施設の建設に着手することも発表している。この機体製造施設によって、年間数千台の機体製造が可能になるという。この施設の設計には、トヨタも関わっているようだ。
▼Joby Aviation公式サイト
https://www.jobyaviation.com/
■空飛ぶクルマの領域で勝つのは?
ホンダはHonda eVTOLを通じて、自社での空飛ぶクルマ開発を手掛けている。一方のトヨタはJoby Aviationを通じて空飛ぶクルマの開発に関わっており、ホンダとは違うアプローチで空飛ぶクルマの領域に参入している。
単純な自動車の販売台数ではトヨタが圧倒的にホンダに勝っているが、空飛ぶクルマの領域ではどのような展開となるのか、今後も目が離せない。
【参考】関連記事としては「「空飛ぶクルマ」参入のトヨタ、実は2014年に特許出願していた」も参照。