自動車部品メーカー大手のトヨタ紡織株式会社(本社:愛知県刈谷市/取締役社長:沼毅)は、次世代自動車の「車室空間」に着目した取り組みを強化している。
2021年5月19日には、自動運転車などの次世代車両の車室空間の開発を加速するため、ドライビングシミュレーターを新たに導入したことを発表した。
このドライビングシミュレーターでは、自動運転による車酔いなどドライバーの生体情報をリアルタイムに計測・解析することが可能だという。こうしたことを通じ、自動運転でも乗り物酔いがしにくい車室空間を追求していくようだ。
■自動運転コンセプト空間「MOOX」で実証実験も
トヨタ紡織の自動運転へのアプローチは今回は初めてではない。2021年2月には愛知県で自動運転コンセプト空間「MOOX」を使った展示を行い、自動運転中に車内向けにさまざまなコンテンツを提供してみせたようだ。
トヨタ紡織は報道発表で提供コンテンツについて「車窓のAR(拡張現実)映像に合わせ音響、振動、香りをもたらす装置や、試乗者のジェスチャー(動作)による操作に対応した映像」としている。
ちなみにMOOXには自動運転OS「Autoware」が搭載され、センサーとしてLiDARやカメラも設置されている。試乗車定員は2人で、ハンドルやペダルなどがないことも特徴だ。
■トヨタ紡織の次世代車室空間へのアプローチに注目
1918年設立のトヨタ紡織は、自動車内装品に主軸を置いて事業展開しており、車室空間の開発に特化した「車室空間開発部」も設置している。
自動運転車では、人が運転から解放されて自由に過ごせるようになることで、車室空間に求められるニーズが変わってくる。こうした中でトヨタ紡織が次世代の車室空間にどうアプローチしていくのか、引き続き注目だ。
【参考】関連記事としては「ティアフォーグループのシナスタジア、自動運転想定空間でVRガイド技術を紹介 CES 2019に参加」も参照。