北海道大学、北海道岩見沢市、NTT、NTT東日本、NTTドコモは2020年11月22日までに、次世代通信規格「5G」や複数ネットワーク最適活用技術、高精度な測位技術などを使い、安定的で円滑な農業機械の広域自動走行と遠隔監視制御を実現したと発表した。
5者は2019年6月、日本の農業現場の問題を解決するため、最先端の農業ロボット技術と情報通信技術を活用したスマート農業の実現に向け、産官学連携協定を締結していた。
■「高速」「大容量」「低遅延」が特徴の5Gを活用
連携協定に基づき5者はこれまで、機械からの高精細映像や監視センターからの発進・停止などの制御信号の安定的な伝送を目指し、「高速」「大容量」「低遅延」が特徴の5Gを活用して実証を進めてきた。
しかし、対象の農地が5Gのサービスエリア外であったり、無線通信の特性上、遮蔽物の影響を受けて自動運転農機が必要な通信品質を得られなかった場合、遠隔地にある監視センターへ送信する監視映像が乱れたり、途切れたりして継続的・安定的な遠隔監視が難しかった。
その解決策として、複数のネットワークを安定的に切り替えるなど5つの技術を実現し、有効性を確認したという。例えば、通信品質の変動をAIが予測し、通信品質の劣化前に適切なネットワークに自動切替する技術などが確立され、安定的な自動走行が実現した。
また、監視映像が伝送できないレベルにネットワーク品質が劣化した際に自動でトラクタを安全に停止させる技術も実現した。NTTドコモの「docomo IoT高精度GNSS位置情報サービス」を使い、自動走行に必要な高精度な測位も実現したという。
■スマート農業の進化に今後も注目
今回の発表に合わせて技術説明のYouTube動画も公開されており、実証実験の様子を交えながら5Gを活用した遠隔監視制御システムなどが説明されている。動画は以下の通りだ。
今後は農機自動走行の安全性をさらに高めるため、衛星信号を用いた測位可能なエリア圏外でも農機自動走行を可能にする路面画像認識による測位補完技術の実証も行うという。
自動運転技術を活用した最先端のロボット農業技術が、今後の日本の農業の維持・発展の鍵を握っている。スマート農業の進化に今後も注目だ。
【参考】関連記事としては「農家に超朗報!収穫用コンテナが人に追従、AIと自動運転技術で実現」も参照。