電子情報通信学会の「第76回論文賞」と「第2回電子情報通信学会最優秀論文賞」に、ソフトバンク株式会社(本社:東京都港区/代表取締役会長社長兼CEO:宮内謙)の技術戦略統括先端技術開発本部の三上学氏と吉野仁氏の論文が選ばれた。
2人が執筆したのは、次世代通信技術「5G」の技術を活用したトラック隊列走行の実証実験に関する論文。タイトルは「トラック隊列走行への適用に向けた5G超低遅延通信による隊列走行に関する屋外フィールド試験」だ。
トラックの隊列走行とは、先頭を有人トラックが走り、その後ろを無人のトラックが車車間通信で追従する形態のことを指す。ソフトバンクは報道発表で「学術団体が発行する査読つき論文誌に関する最優秀論文賞の受賞は、ソフトバンクとしては初の快挙」としている。
論文では、5Gを活用した実験の意義や評価方法、評価結果などについてまとめられているほか、トラック隊列走行を今後どう実用化するか検討する上での主要な課題についても説明されているようだ。
■実証実験には技術面だけではない苦労も
ソフトバンクは新東名高速道路などで5Gを活用したトラック隊列走行の実証実験に取り組んでおり、この分野では世界をリードする存在と言える。5Gを活用するというのはまさに通信会社ならではで、同社はモビリティ業界でも注目の存在となっている。
無人のトラックが隊列を組んで走行することが物流企業で可能になれば、荷物の運搬効率は大きく向上する。EC(電子商取引)需要が高まる中、物流業界では人手不足が続いているため、業界からのソフトバンクの研究への期待度は高い。
ソフトバンクの公式サイトでは、吉野氏の「自動車テストコースでのトラック走行に必要な関係各省庁からの許可を取るために、交渉や説明などの調整に時間と工数をかけた」というコメントが紹介されており、実験実施には技術面だけではない苦労もあったようだ。
【参考】関連記事としては「後続車が自動運転化へ!トラック隊列走行、3つの技術段階」も参照。