南福岡自動車学校などを運営するミナミホールディングス株式会社(本社:福岡県大野城市/代表取締役社長:江上喜朗)は2020年7月19日までに、創業間もない「シード期」のスタートアップなどを対象にしたCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)として、ミナミインキュベート株式会社を子会社として設立したと発表した。
投資を受けたスタートアップ企業は、同社が有する1万2000㎡の教習コースなどの経営資源も活用できるようで、自動運転の実証実験のためにテストコースを探しているテック系スタートアップなどにとっては、注目のトピックスと言えそうだ。
新子会社設立は、教習所の持つ資源を生かした新事業の展開により、教習所利用者への新たな価値の提供などが目標とされている。あくまで一例だが、実証実験で教習所利用者に自動運転を体験してもらえば、こうしたCVC側の目標にも合致した取り組みとなりそうだ。
■自動車学校を利用した取り組みはこれまでも
自動運転領域で自動車学校を活用したこれまでの事例としては、自撮りアプリ「SNOW」のAI(人工知能)顔認識技術などを手掛ける香港のセンスタイム社の取り組みが挙げられる。
同社の日本法人であるセンスタイムジャパンは、茨城県常総市にある自動車学校の跡地を活用し、「AI・自動運転パーク」というテストコースを2019年に開設している。人が運転を練習するために使われていた教習コースを、AIを鍛えるために使おうという試みだ。
埼玉工業大学も自動運転バスの試乗会を自動車学校で実施したことがある。具体的には、2019年8月に埼玉県加須市の埼北自動車学校で自動運転バスの開発状況の公開とともに試乗会を実施している。
■「自動車学校×自動運転企業」の取り組みは今後活発化?
自動車学校は全国に1300カ所あると言われている。自動運転技術の開発が進むと人が運転する必要が最終的に無くなるため、自動車学校にとっては「由々しき事態」になると言えなくもないが、教習コースなどの経営資源は大いに有効活用でき、「自動車学校×自動運転企業」の取り組みが今後活発化していく可能性は十分にある。
ミナミインキュベートとスタートアップ企業により今後どんな取り組みが行われるか、自動運転メディアとしても今後注目していきたい。
【参考】関連記事としては「茨城に「AIが自動運転を学ぶ学校」誕生!自動車学校跡地を活用 センスタイム日本法人」も参照。