スイスの金融大手UBSグループは2018年5月、アメリカにおける自動運転車の広告・サービス市場が2030年に4720億ドル(約52兆円)規模に達するとの予測を発表した。
さらに同グループは、アメリカにおける自動運転車の広告市場の主要プレイヤーになる企業として、米グーグルの持ち株会社アルファベットの名前を挙げている。予測によれば、2030年の自動運転車広告市場の収益の60%をアルファベットが獲得する見込みという。
自動運転社会が実現すると人が自ら車を運転する必要が無くなり、車内空間全体が人と広告が接触する新たな機会になると言われている。
自動運転車が普及するにつれ、車内で目にするデジタルデバイスの接触時間が、スマートフォンより自動運転車の「窓」などの新たな端末が長くなるのではないか、という予測もある。
アメリカ全体の自動運転市場は250兆円規模に
UBSグループはまた、2030年までにアメリカにおける自動運転車関連の収益が2.3兆ドル(約250兆円)ほどになるという予測も明らかにしている。もらたされる収益の70%は、従来型の車を運転していた層によるものであるという見込みも示している。
一方でアメリカでは、米自動車協会(AAA)が2018年5月22日に公表した自動運転車に関する調査で、自動運転車の運転に恐怖感を感じている人の割合は前年比10%増の73%に達しているとのニュースが話題になったばかり。特に女性の方が懸念を感じている人の割合が高いという。
アメリカ国内では、ライドシェア世界大手ウーバー・テクノロジーズや電気自動車(EV)大手テスラなどが自動運転車で死亡事故を起こすなど、自動運転車に関するネガティブな印象も広がっている。今後、技術面やインフラ面や法律面で自動運転社会が実現する環境が整っても、ユーザー獲得には一定のハードルがあるのも現実として考えられるといえる。
【参考】過去に自動運転で発生した交通事故などについては「自動運転の事故まとめ ウーバーやテスラが起こした死亡事故の事例を解説|自動運転ラボ 」も参照。