三菱電機株式会社(本社:東京都千代田区/代表取締役社長:杉山武史)は2020年3月15日までに、水平・垂直の2軸で走査する電磁駆動式MEMSミラー搭載の「MEMS式車載LiDAR(ライダー)」を開発したことを発表した。小型で広い水平視野角を持つことが特徴だという。
「自動運転の目」とも呼ばれるLiDARは、照射した光の反射光を検出して対象物との距離を測定するセンサーだ。同社は開発した製品について報道発表で「先行車両や歩行者などの距離や形状を高精度に検知し、高精細な3次元画像を広範囲に取得することができます」としている。
開発の特長としては「独自の構造と2軸走査の電磁駆動により、広い振れ角(水平:±15°、垂直:±3.4°)を持つ業界最大級(7mm×5mm)の軽量ミラーを実現」と「主要部品の最適配置により、広範囲での3次元画像取得と小型化(108mm×105mm×96mm)を実現」の2点が掲げられている。
同社はこのMEMS式車載LiDARのさらなる小型化や垂直視野角の拡大に取り組み、2025年以降の実用化に向けて開発を進めていくという。
■三菱電機、自動運転領域で多角的な取り組み
自動運転を支える技術はさまざまだが、三菱電機は「車外から情報を集める技術」と「車の周囲を検知する技術」、そして「車両自体が状況を把握してコントロールする技術」の3つの側面から自動運転に向けた取り組みを行っている。
中でも注目したい技術の一つが、三菱電機が設計・製造を準天頂衛星システム「みちびき」と車に搭載した高精度ロケーターを使い、GPS(全地球測位システム)より10倍以上正確に位置情報を把握する技術だ。
取得した位置情報を「高精度3次元地図」と組み合わせれば、マップデータにおける車両の位置をより正確に把握でき、濃霧や暴風雪などセンサーが効きにくい環境でも安全な自動運転が可能となる。
なお先ほど触れた高精度3次元地図を作成するためには、道路の傾斜や形状、建物や標識などの正確な情報が必要だが、三菱電機の「モービルマッピングシステム」では自社開発のカメラやミリ波レーダーでそれらの情報を効率的に収集し、高精度3次元地図を自動生成することができる。
白物家電メーカーとは別の顔で、さまざまな角度から自動運転の実現に取り組んでいる三菱電機。自動運転や市場拡大がほぼ確実なだけに、研究開発費を投じる価値を十分に感じての事業展開だろう。
【参考】関連記事としては「高精度地図が無くても、自動運転実現!三菱電機が新技術発表、衛星信号を活用」も参照。