カリフォルニア州サンフランシスコ・ベイエリアの北部に位置するナパバレーで、自動運転バスの運行計画が暗礁に乗り上げている。原因は資金不足。現地メディアの報道によれば、100万ドル(約1億1000万円)足りないらしい。
ナパバレー交通局(NVTA)が2018年2月、その年の年末までに自動運転バスの運行サービスを開始することを発表していた。ただその後、実証実験なども一切行われず、住民たちが不思議がっていた。
当初、自動運転バスの運行に掛かる費用は、地元の公共機関からの資金調達や車内広告でまかなうはずだった。ただそれがうまくいかず、現状は計画がストップしている状態だという。当初の計画では15人乗りの自動運転バスが時速約50キロで運行される予定だった。
■日本における自動運転バスの運行枠組みは?
日本では自動運転バスが長期で定期運行されている例は、福島第1原子力発電所の構内における「はまかぜe」(仏ナビヤ製「ナビヤアルマ」を使用)に限られる。東京電力ホールディングス(HD)が資金を拠出して、廃炉作業に従事する従業員などの移動を担っている形だ。
ただこのように民間企業が自己資金のみで自動運転バスを長期的に運行しているという例はほかになく、短中期のスパンで運行される実証実験についても、自治体が自動運転の実用化に向けて予算を計上し、事業者を選定して実施されているケースが多い。
例えば東京都の例もこれに当てはまる。2018年度に約8400万円の関連予算を初めて確保し、そのうち4000万円を公募によって選定した2つのプロジェクトに充てており、こうした取り組みは2019年度も継続中だ。
【参考】関連記事としては「東京都、自動運転事業に本腰 初予算8400万円計上 ZMPやSBドライブなどの実証実験に期待感」も参照。
■ナパバレーの例は資金計画上の問題
実証実験もしくは商用サービスとして自動運転バスを運行するという計画が、資金不足により頓挫しているという例は世界的にみてもあまり聞かない。こうした状況に照らし合わせてみても、今回のナパバレーの例は資金確保などの面で計画上の問題があったと言わざると得ず、今回のプロジェクト特有の問題だと言えそうだ。
ただ実際に自動運転バスを運行させるためには、車両の手配、警備員の手配などの安全対策、運行に必要なシステムやアプリケーションの準備などが当然必要となり、総コストは決して小さくない。そのため一定規模の予算確保を確実に行った上でプロジェクトを進めることが必須であることは言うまでもない。
【参考】関連記事としては「【最新版】自動運転車の実現はいつから?世界・日本の主要メーカーの展望に迫る|自動運転ラボ」も参照。
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— 自動運転ラボ (@jidountenlab) August 22, 2018